【注目の新エネルギー】雪氷熱エネルギーとは?

寒冷地では、冬になるとたくさんの雪が降りますよね。

雪はきれいでもありますが、たくさん降っても使い道があまりないので、邪魔になって捨ててしまいます。

もし、このたくさんの雪をエネルギーに変えることが出来たらすごいだと思いませんか?

雪氷熱エネルギーは、そんな不要になった雪や氷を利用する再生可能エネルギーです。

こちらでは、そのエネルギーについて解説します。

雪氷熱エネルギーとは

trees and snowdrop

雪氷熱エネルギーとは、冬に降った雪や冷たい外気で凍らせた氷を、気温が上がって冷蔵・冷房が必要になった時期に利用するものです。

その性質上、寒い地域でしか運用することが難しいシステムですが、豊富にある資源を無駄なく活用できますので、クリーンな再生可能エネルギーとして注目されています。

日本では、北海道を中心とした寒冷地で普及しています。

雪は、重機やコンテナ等を使って集めることで使用可能です。

氷を使用する際には、沼に張った氷を採取したり水槽内の水を外気で凍らせたものを利用します。

雪氷熱エネルギーができる仕組み

snowy mountain

雪や氷から冷熱を採取する方法は、次の3つの種類があります。

  • 全空気方式
  • 冷水循環式
  • 自然対流式

雪や氷をエネルギーに変える前に、冬の寒い時期の間に雪を貯雪庫やコンテナなどに集め、氷の場合はアイスシェルターに保管します。

全空気方式の場合は、貯雪庫内の冷却された空気と冷房室の空気を送風機で入れ替える方式です。

対して冷却循環式は、雪解け水や雪や氷によって冷やされた不凍液を熱交換器のポンプを使って循環させ、冷蔵庫に冷風を送ります

全空気方式や冷却循環式は、農作物の冷蔵や建物の冷房に使われる方式です。

また、特別な機材を使用せず、貯雪庫と隣り合わせたり、上にかぶせることで温度を自然に対流させる自然対流方式もあります。

雪氷熱エネルギーの特徴

gray sand field and mountains

雪氷熱エネルギーの特徴は、大きく3つがあります。

  • 捨てられてしまうたくさんの雪を有効活用
  • 空気中の不純物を吸収
  • 農作物の保存に適した温度

まず紹介するのは、捨てられてしまうたくさんの雪を有効活用できる点です。

日本では年間通して500億t~900億tほど雪が降り、札幌では毎年100億円以上使って処理されている雪を無駄なく活用できるので、コスト削減に繋がります

また、冷房や冷蔵に使用される石油といったエネルギーの代替となりますので、省エネやCO2排出の抑制効果にも期待できますよ。

さらに、雪での冷房は、空気中のホコリや塩分といった不純物を吸収して、自然できれいな空気になるといった効果もあります。

使用電力もポンプがメインですので、電気冷房と比べてランニングコストを約4分の1に抑えられます

室内の空気を汚染せず、健康的で快適な環境を実現可能です。

加えて、雪や氷で冷気貯蔵する際の温度が、農作物の長期保存にたいへん適しているといった特徴もあります。

その温度帯は、0~5℃ほどの一般にチルドと呼ばれている温度です。

その温度で保存することにより、品質を保った状態で長期的に保存することが可能になり、安定供給による付加価値を得られます。

保存する農作物によっては、糖度が増すといったメリットもありますよ。

雪氷熱エネルギーの課題

snow-covered pine tree in mountain under cloudy sky

雪氷熱エネルギーのシステムを利用する点で課題となるのは、貯雪庫などのコストの高さです。

また、夏までに冷却に必要となる雪や氷はたくさん必要ですので、集めて運搬するために重機などを使うコストもかかります。

地球温暖化などの影響による暖冬や夏の猛暑などの気象条件によっては、そもそも雪や氷を確保することが困難である点も課題の一つです。

さらに、保冷材からの放熱損失についても課題が残っており、より効率のよいシステムの開発が必要です。

最近では、貯雪庫やアイスシェルターなどの技術開発が進んでおり、少しずつではありますが、コストが下がりつつあります。

雪氷熱エネルギーのこれから

road covered by snow near vehicle traveling at daytime

雪氷熱エネルギーは今後、豪雪地帯のシンボルとして地域活性化に活用されることが期待されています。

先述したように、雪氷熱エネルギーは省エネに繋がるほか、農作物の品質維持にも活用できるので、ブランド化といった産業振興に繋がる取り組みが進展中です。

また、大量に降る雪を地域資源として捉えることが出来るようになるので、技術の開発やイベントの開催による普及・拡大にも期待できます。

加えて、雪のない地域に雪を運搬することで楽しんでもらうといった、雪を観光資源として活用するといった活用法も行われていますよ。

まとめ

low angle photo of snow field

雪氷熱エネルギーとは、雪や氷を使ってものを冷やす技術です。

それは、今まで捨てられてきた雪や氷に使い道を与える画期的な再生可能エネルギーの一つであることには間違いありません。

雪の冷たさを利用したシステムは、冷蔵や冷房に適しているほか、農作物の長期的な保存にも向いています。

コストや天候など課題はいまだ多くありますが、技術の進歩によって雪氷熱エネルギーの効率がよくなることで、たくさんの施設や企業で利用されるようになるでしょう。

エネルギーの普及・拡大が進めば、CO2削減による省エネ効果や観光資源としての経済効果が期待できます。

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