「春雨」はどんな雨? | 由来や類語も解説

日本には四季があり、季節ごとに雨の降り方も様々です。
例えば、しとしと降る雨もあれば、ザーザー降る雨もあります。
日本にはそういった
降り方
降る季節
時間帯
などによって様々な呼び名があるのをご存じでしょうか?
例えば
春時雨(はるしぐれ)
※春に降るにわか雨のこと
桜雨(さくらあめ)
※桜の花が咲く頃に降る雨のこと
夕立(ゆうだち)
※夏の午後、短時間に雷を伴って激しく降る雨のこと
などがあります。
このように、日本人は昔から雨の降り方の細かな違いを感じ取り、表現してきたのです。
今回はその中でも、細やかな雨を表現している「春雨」について解説します。
「春雨(はるさめ)」とは?
「春雨」とは、春に降る雨で、いつまでも降り続くしっとりした地雨のような雨のことを言います。
天気がぐずつく期間は梅雨のように長くなく、4日~6日くらいです。
なぜ、春は雨が多い?
春になると、大陸から日本に移動性高気圧がやってくるのに伴って低気圧もやってきます。
低気圧があると上昇気流が発生し、雲ができやすくなるため雨が降りやすくなるのです。
「春雨」は呼び方で意味が変わる?
「春雨」を「はるさめ」と読むと、天候と食べ物両方の「春雨」を指します。
しかし、「春雨」を「しゅんう」と読むと、「春に静かにしとしとと降る雨」の意味となり、天候の「春雨」だけを指すことになります。
「春雨」の由来
「春雨」の由来は字のごとく、春に降る雨からきています。
本来は、「春小雨」と書いて「はるさめ」なんだそうです。
また、「春雨」に似たような言葉に「春の雨」がありますが、雨の降る時期で区別されているのです。
立春から3月初め(旧暦の正月から2月の初め)に降る雨を「春の雨」、それ以降に降る雨を「春雨」としています。
食べ物の「春雨」は天候の「春雨」が由来?
天候の「春雨」が食べ物の「春雨」の由来になっているのはご存じでしょうか?
食べる「春雨」は、中国では西暦1000年頃から食されていて、鎌倉時代に日本に伝わり精進料理として食されていたそうです。
日本に「春雨」が伝えられた当初は、中国由来の麺という意味で「唐麺」と呼ばれていました。
また、昭和初期には「凍麺」や「紛絲」という名前で売られていたこともあります。
その後、白くて細い麺が春のしとしと細く降り続く「春雨」に似ていることから、日本固有の「春雨」という名前が付けられたとされています。
「春雨」の降る時期
「春雨」の降る時期は、3月下旬から4月上旬(旧暦の2月末から3月)にかけてです。
ちょうど桜の咲く頃に降ることから「花散らしの雨」とも言われます。

「春雨」の類語
春の雨(はるのあめ)
春の雨の総称で、しとしとと静かに降る雨のこと。
小糠雨(こぬかあめ)
春にしとしと降る霧のように細かい雨のこと。
※秋に降るものを「霧雨」と言います。
菜種梅雨(なたねづゆ)
菜の花が咲く頃、しとしとと降り続く暖かい雨のこと。
※主に南日本で降ります。
発火雨(はっかう)
二十四節気の「清明」の4月5日頃に、やわらかく静かに降る雨のこと。
※「桃花の雨(とうかのあめ)」や「杏花雨(きょうかう)」とも言われます。
催花雨(さいかう)
花の咲くのを促すように降る雨のことで、「養花雨(ようかう)」、「育花雨(いくかう)」とも言われます。
「春雨」の例文
朝起きると春雨がしとしとと降っていた
しめやかに春雨が降り続いています
私は静かな春雨の中を歩くのが好きです

まとめ
春にしとしとと降り続く雨を表す言葉「春雨」は、その繊細な雨模様を表現していることがわかったのではないでしょうか。
年間を通して雨の多い日本では、雨の呼び名だけでも400語以上あると言われています。
このことから、日本人は雨の細かい違いを敏感に感じ、生活の中に取り入れてきたことがわかります。
その中でも、「春の雨」は草木や人間など様々なものにとって恵みの雨とも言えます。
そんな「春の雨」を名前と共に楽しんでみてはいかがでしょうか。

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