上空に浮かんでいる雲って軽いの?雲が空に浮かぶメカニズムとは

雲,重さ

地球上にはそれぞれ形が異なる雲があり、大きさを問わず、どの雲も上空に浮かんでいます。

雲が風船のように空に浮かんでいるので、「雲は空気よりも軽いのでは?」とイメージする人も多いと思います。

実際には、雲には重量があり、大きさによって重量が異なることをご存知でしょうか。

この記事では、雲がどれぐらい重いのか、雲が浮かんでいるメカニズムについて説明したいと思います。

雲の正体

雲,重さ

上空の空気は、地表の空気よりも温度が低く、空気中に含むことのできなくなった水蒸気が極小の水や氷の粒となります。

極小の水や氷の粒は、排気ガスの塵や海水が空中に飛び散ってできた微粒子を取り囲むことにより、雲の粒を形成します。

雲の粒が上空で集合して雲になり、周りとの気圧を均衡に保とうとするため、どんどん膨らんで大きくなるでしょう。

雲は水蒸気の塊であり、水蒸気にも質量はあるので、雲は重いということになります。

雲の重さ

雲,重さ

雲は雲の粒の集合体であり、種類や形によって大きさが異なりますが、10kmを超える雲も存在します。

雲の1立方メートルあたりの重さは軽いもので1方メートル当たり0.05g、 雨雲のような重いもので5gぐらいの重さだといわれています。

質量(g)=体積(cm^3)×密度(g/cm^3)の計算式に当てはめると、10kmを超える雨雲であれば、5000トンもの重量になるでしょう。

空に浮かんでいる雲に、それだけの重量があることに驚くと思います。

雲が空に浮かび続ける上で、雲が空に浮かんでいるメカニズムを考える必要があります。

雲が空に浮かぶメカニズム

雲,重さ

雲の大きさや種類はさまざまですが、どの雲も水蒸気によって構成されている点で共通しています。

雲が空に浮かぶメカニズムを知ることにより、雲は重さに左右されることなく、浮かび続けられる要因にもつながるでしょう。

雲が空に浮かぶメカニズムには3つの要因があります。

[box class=”box26″ title=”雲が浮かぶメカニズム”]

  1. 水蒸気と大気の重量差
  2. 大気と上昇気流のバランス
  3. 凝縮熱によるサイクル

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雲が空に浮かぶメカニズムの3つの要因について説明したいと思います。

1.水蒸気と大気の重量差

乾燥した地球の大気の大部分は、窒素と酸素で構成されており、その他にごく少量のガスが含まれています。

窒素原子(N)と酸素原子(O)の分子量をそれぞれグラム重量で表現すると、

  • 窒素原子は14g
  • 酸素原子は16g

となります。

分子量とは、分子を構成する原子の原子量の総和であり、分子の重量のことです。

窒素と酸素はそれぞれの原子が結合した分子状態で大気に存在しており、それぞれの分子量をグラム重量で換算すると、

  • 窒素分子は28g
  • 酸素分子は32g

となります。

水蒸気における、水分子(H2O)を同様に計算すると、水分子の重さは18gとなります。

水蒸気が空に浮かぶようになるのは、大気中に存在する窒素や酸素分子が空気より軽くなるからです。

2.大気と上昇気流のバランス

雲が空に浮かんでいる要因は、雲の粒が大気による重力と上昇気流のバランスによって、上空に浮かび続けているように見えるためです。

地球上に存在するすべての物質には重力がかかるようになっており、どんなに軽くても空から地表へと落ちようとする力が働き続けます

空に浮かんでいる雲の粒にも重力はかかるので、地表に落ちようとする力が働きます。

しかしながら、雲の粒は非常に小さく、空気の層を通り抜けるほどの落ちる力を得られません

また上空で発生している上昇気流が、雲の粒を上空へと持ち上げるので、地表に落ちることなく、上空で留まり続けることになります。

上昇気流には、太陽熱による地表と上空の寒暖差による対流によるものや地形によるものなど様々な上昇気流があります。

雲が上空に浮かんでいるのは、上から下に落ちる力と下から上へと押し上げる力が、バランスによって成り立つ現象です。

3.凝縮熱によるサイクル

雲が空に浮かぶのは、凝縮熱によるサイクルが続くことで、水滴を上空に留まらせることが要因です。

凝縮熱によるサイクルとは、上昇した水滴が冷やされることにより、凝固して、また凝縮熱により上昇するという働きが続くことです。

大気中の空気において、暖められた空気は上昇し、冷やされた空気は沈むことが基本的な特徴となります。

水分を含んだ暖かい空気が上昇すると、空気は冷やされて、水蒸気が発生します。

雲ができる理由は、空気中で冷やされて発生した水蒸気から、微小の水や氷の粒が発生するからです。

上空で発生した微小な水滴は、重力により地表に落ちるのですが、凝縮熱によって地表に落ちることはありません。

凝縮熱とは、気体が液体に変化する際に発生する熱であり、熱を奪う気化熱と正反対の特徴があります。

上空で発生した微小な水滴には凝縮熱が存在し、水滴の周りを暖かい空気が覆っている状態となり、この暖かい空気は上昇させる力を持っています。

雲が浮かんでいるのは、凝縮熱のサイクルにより、上空の水蒸気が何度も上昇と落下を繰り返しているからです。

まとめ

雲,重さ

空に浮かんでいるさまざまな大きさの雲には、トンを超えるほどの重量があり、すべて水蒸気の塊だといえます。

雲の重さは、雲の大きさや形によって異なりますが、雲の体積と密度が重要な要素です。

雲は種類によって密度が変わるので、種類によって重量は変わりますが、3つの要因によって浮かんでいるメカニズムは共通しています。

雲が浮かんでいるのは空気よりも軽く、重力と上昇気流のバランスがあり、凝縮熱によるサイクルがあるからです。

普段何気なく見ている雲ですが、雲の重さや浮かんでいるメカニズムを意識することにより、その地域の気候や気温もわかるようになると思いますよ。

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