近年、日本でもよく耳にするようになった「竜巻」ですが、みなさん、竜巻についてどのくらいご存じですか?
現在の観測・予測技術では、竜巻などの激しい突風の発生を事前に予測できないこともあります。
近年、気象庁は
[box class=”box29″ title=” “]
- 竜巻注意情報:
竜巻などの激しい突風に関する気象情報 - 竜巻発生確度ナウキャスト:
竜巻などの激しい突風が発生する可能性のある地域の詳細な分布と予報を提供
[/box]
などを発表したり、提供しています。
これらを活用すると同時に、竜巻についてしっかりとした知識を身につけることで、万が一の事態から身を守れるかどうかにつながるかもしれません。
そこで今回は、竜巻について徹底解説します。
竜巻とは
竜巻とは、積乱雲にともなう強い上昇気流により発生する激しい渦巻きで、それが地上付近にまでのびたものです。
竜巻と台風は似ていますが、はっきりとした違いがあります。
それは、竜巻のほうが、
- 渦巻きが小さい
- 移動する距離が短い
- 風がはるかに強い
- 進路が予想できない
ということです。
またたく間に、海や地上のあらゆるものを巻き上げるので、大きな被害をもたらします。
竜巻の風速は、最大で100m/秒程度と推定されています。
また、竜巻の寿命(継続時間)は、数分程度です。
竜巻が発生する仕組み
竜巻の発生の仕組みは台風と同じで、
- 大気の状態が不安定になる
- 上層の風が強い
- 下層で大量の水蒸気を含む
となった時に発生しやすくなります。
日本で起こる竜巻のほとんどは、地上付近で風が回転しているところに、上昇気流が重なり発生すると考えられています。
これは、風が回転しながら上へあがるにつれて、回転の半径が小さくなり風が強くなるからです。
竜巻の主な要因は、
- スコールライン:
活発な積乱雲が次々に発生し線状に並び、激しい対流性降水や突風、気温の急降下、気圧上昇などを伴う雲列のこと - 巨大雷雨のフックエコー:
フックエコーとは、竜巻の前触れとされるエコーで、降水強度が強い部分が鉤(フック)または釣り針状に分布しているものを言う - 停滞前線の南北の移動
- 台風
- 熱帯低気圧
などの不安定な気象条件です。
竜巻が発生する仕組みについてくわしく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
>>竜巻はどうやって発生する?|前兆や発生する時期や場所も解説
竜巻が多い時期
近年日本では、竜巻は季節を問わず全国で発生しています。
とくに竜巻の多い時期は、夏から秋にかけてで、全体の70%を占めています。
これは、上昇気流が
- 台風
- 積乱雲
と一緒に現れるからです。
その中でも、9月は他の月と比べると、圧倒的に竜巻の発生が多いようです。
また、竜巻の発生時間は、
- 夜間よりも昼間のほうが多い
- 11時から18時にかけてがピーク
とされています。
竜巻が発生する時期についてくわしく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
>>竜巻はどうやって発生する?|前兆や発生する時期や場所も解説
藤田スケールとは
藤田スケール(EFスケール)とは、竜巻やダウンバーストなどの突風により発生した被害の状況から、風速を大まかに計測する方法です。
竜巻などの激しい突風をもたらす現象は水平規模が小さく、既存の風速計から風速の実測値を得ることは困難なため、1971年にシカゴ大学教授(当時)の藤田哲也と国立暴風雨予報センター局長(当時)アレン・ピアソンによってつくられました。
しかし、藤田スケールには、比較的強いトルネード(とくにF3からF5)に対する風速の推定値が、実際の風速より極端に高く評価されてしまうという欠点がありました。
その後、改良藤田スケールがつくられ、より正確な風速の推定ができるようになったのです。
竜巻が発生する仕組みについてくわしく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
>>竜巻の強さを表す「藤田スケール」とは?|歴史や階級も解説
竜巻による被害
竜巻は、短時間でせまい範囲に集中して甚大な被害をもたらします。
竜巻による被害の特徴には、
[box class=”box27″ title=”竜巻による被害”]
- 建物がたおれる
- 車がひっくり返る
- 巻きあげられたものが、猛スピードでとんでくる
- とんできたものにより、窓ガラスが割れたりする
[/box]
などがあります。
また、積乱雲からは、
- ダウンバースト:
積乱雲から吹きおろす下降気流が地表にぶつかり、水平に吹きだす激しい空気のながれのこと- 吹きだしの広がりは数百メートルから十キロメートル程度
- 被害地域は、円形あるいは楕円形など面的にひろがる
- ガストフロント:
積乱雲の下でつくられた冷たい空気のかたまりが、その重みによってあたたかい空気のほうに流れだし発生する- 水平の広がりは、竜巻やダウンバーストより大きい
といった突風が発生することもあり、とくに注意が必要です。
竜巻による被害についてくわしく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
竜巻への対策方法
まず、竜巻がおこる兆候には、
[box class=”box29″ title=”竜巻の兆候”]
- 雷鳴がきこえる
- 真っ黒い雲がちかづき、あたりが急に暗くなる
- ひやっとした冷たい風が吹きだす
- 大粒の雨やひょうが降りだす
[/box]
などの現象がみられます。
竜巻の移動速度ははやいので、このような兆候を感じたらただちに頑丈な建物などに避難しましょう。
また、屋内・屋外にいる場合、どんな対策ができるか紹介します。
[box class=”box29″ title=”竜巻への対策”]
- 屋内にいる場合
- 風の影響をうけにくい窓のない部屋に移動する
- 窓、雨戸、シャッター、カーテンなどを閉める
- 丈夫な机やテーブルの下にはいり、身をまもる
- 戸締りをする時間がないときは、押入れやクローゼットなど窓のない場所へ避難する(飛来物でガラスが割れてケガをするのを防ぐことができる)
- 屋外にいる場合
- 鉄筋コンクリートなどの頑丈な建物に避難する
- 建物がない場合、水路やくぼみなどに身をふせ、頭をまもる
[/box]
次のような場所は、避難場所として適していないので気をつけましょう。
[box class=”box27″ title=”避難に適していない場所”]
- 車庫、ものおき、プレハブなどの建物
- 橋、電柱、樹木などの下
- 自動車やトレーラーハウス
[/box]
竜巻への対策方法についてくわしく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
竜巻の種類
竜巻には、さまざまな種類があります。
基本的に竜巻は、
- 発生場所
- 状態
によって、大きく2つにわけられます。
では、それぞれについてくわしく紹介します。
- 多重渦竜巻
英語で、Multiple vortex tornado(マルティプルボルテックス・トルネード)といい、複数の竜巻がまとまって発生している状態のことをいいます。おもに、大型の竜巻のまわりに小型の竜巻が発生し、この状態になります。 - 衛星竜巻
英語で、Satellite tornado(サテライト・トルネード)といい、大型の竜巻のまわりに発生する竜巻のことです。
多重渦竜巻と衛星竜巻のちがいは、以下の通りです。- 多重渦竜巻・・・大型の竜巻にあわせて動いてる
- 衛星竜巻・・・それぞれ独立している
- 水上竜巻
英語で、Waterspout(ウォータースパウト)といい、竜巻が水面に達しているものです。
また、水上で発生した大型のつむじ風も、水上竜巻に含まれることがあります。
水上竜巻は、別名「海上竜巻=Seaspout(シースパウト)」ともよばれます。
- 陸上竜巻
英語で、Landspout( ランドスパウト)といい、竜巻というとこれをさすことが多いです。
名前のとおり陸上で発生する竜巻で、別名「チューブ型砂塵竜巻」ともよばれます。
- 空中竜巻
英語で、Funnel aloft(ファネルアロフト)といい、渦まきの下端が空中にあって、地上・水上
についていない竜巻のことをいいます。
竜巻にふくめない場合もありますが、構造・メカニズムは竜巻とおなじです。
竜巻の種類についてくわしく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
まとめ
では、竜巻についてわかったことを簡単にまとめます。
竜巻とは、
- 積乱雲にともなう強い上昇気流により発生する激しい渦巻き
- 竜巻の風速は、最大で100m/秒程度
- 竜巻の寿命(継続時間)は、数分程度
ということがわかりました。
竜巻が発生する仕組みは、地上付近で風が回転しているところに、上昇気流が重なり発生すると考えられていて、竜巻の主な要因は、
- スコールライン
- 巨大雷雨のフックエコー
- 停滞前線の南北の移動
- 台風
- 熱帯低気圧
などの不安定な気象条件です。
竜巻が多い時期は、
- 夏から秋にかけてで、全体の70%を占める
- とくに、9月が圧倒的に多い(上昇気流が、台風・積乱雲と一緒に現れるため)
です。
藤田スケールとは、
- 竜巻やダウンバーストなどの突風により発生した被害の状況から、風速を大まかに計測する方法
- 1971年にシカゴ大学教授(当時)の藤田哲也と、国立暴風雨予報センター局長(当時)アレン・ピアソンによってつくられた
- その後、改良藤田スケールがつくられ、より正確な風速の推定ができるようになった
ということがわかりました。
竜巻による被害には、
- 建物がたおれる
- 車がひっくり返る
- 巻きあげられたものが、猛スピードでとんでくる
- とんできたものにより、窓ガラスが割れたりする
などがあり、短時間でせまい範囲に集中して甚大な被害をもたらします。
また、
- ダウンバースト
- ガストフロント
といった突風が発生することもあり、とくに注意が必要です。
竜巻がおこる兆候には、
- 雷鳴がきこえる
- 真っ黒い雲がちかづき、あたりが急に暗くなる
- ひやっとした冷たい風が吹きだす
- 大粒の雨やひょうが降りだす
などの現象がみられ、ただちに頑丈な建物に避難することが大切です。
また、屋内・屋外にいる場合の対策は、
- 鉄筋コンクリートなどの頑丈な建物に入る
- 飛来物から身をまもる
などがあります。
竜巻の種類には、
- 多重渦竜巻
- 衛星竜巻
- 水上竜巻
- 陸上竜巻
- 空中竜巻
があることがわかりました。
いかがでしたか?
竜巻について、様々なことがわかったと思います。
いつ被害にあうかもわからない竜巻。
「自分は大丈夫」と思わず、もしもに備えて、しっかり竜巻についての知識を身につけてみてはいかがでしょうか。
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