「菜種梅雨」はどんな雨?由来や類語も解説

「菜種梅雨」という言葉をご存じでしょうか?
菜種とは、菜の花のことで、菜の花が咲く頃に降る梅雨のような天気のことを指す言葉です。
しかし、梅雨と言っても、夏の梅雨とは少し違うのです。
そこで今回は、
菜種梅雨とは?
菜種梅雨の由来
菜種梅雨の降る時期
菜種梅雨の類語
菜種梅雨の例文
などについて、詳しく紹介します。
「菜種梅雨(なたねづゆ)」とは?
「菜種梅雨」とは、菜の花が咲く頃に降り続く雨のことを言います。
雨の降り続く期間は、1日から長くても1週間程度です。
ではなぜ、春に梅雨のような気象現象が起こるのでしょうか?
それは、春になると高気圧が北上し、本州の南海上に前線が停滞しやすく、曇りや雨の日が多くなるからです。
よって、東日本や西日本の太平洋側では見られますが、北海道や東北地方ではあまり見られません。
「菜種梅雨」の由来
菜種(菜の花)の咲く季節に、しとしとと降る雨が梅雨に似ているため、「菜種梅雨」と名付けられました。
また、「花を催す雨=催花雨(さいかう)」が同音の「菜花雨(さいかう)」となり、菜の花の咲く季節の長雨に用いられるようになったとも言われています。
今では、「春の長雨」という意味で使われていますが、昔は「旧暦3月、4月頃に吹く南東の大風」のことを言ったようです。
これは、南東の大風が高波を発生させるため、太平洋に面した地方では、船乗りに注意換気の目的で使っていたのです。
「菜種梅雨」の降る時期
「菜種梅雨」は、3月~4月に降ります。
梅雨といっても、雨の量は梅雨ほど多くなく、しとしとと降る感じです。
菜種梅雨の頃は、季節の変わり目にあたり、暖かくなってきたと思ったら、しとしとと雨が降り続くので、肌寒く感じることも多いと思います。
この時期は、服装に困ったり、体調を崩しやすい季節でもあるので、注意が必要です。
また、日本には、「菜種梅雨」の他に「○○梅雨」と呼ばれるものがあります。
走り梅雨(はしりつゆ)・・・5月下旬
梅雨(つゆ)・・・6月~7月
すすき梅雨(すすきつゆ)・・・8月下旬~10月下旬
山茶花梅雨(さざんかつゆ)・・・11月下旬~12月上
こうみると、日本は1年を通して雨が多いのがわかりますね。
「菜種梅雨」の類語
「菜種梅雨」と同じような意味(しとしとと降り続く雨)を持つ言葉を紹介します。
春の長雨(はるのながあめ)・・・3月中旬から 4月上旬にかけて, 菜の花が咲く頃に降る長雨のこと
春雨(はるさめ)・・・春に降る静かなしっとりとした雨のことで、桜が咲いている頃に降ると、「花散らしの雨」とも呼ばれる
催花雨(さいかう)・・・「催」はうながすという意味を持ち、菜の花をはじめ、色々な花を催す(咲かせる)という意味
春霖(しゅんりん)・・・「霖」は長雨の意味で、春(3月から4月)に降る長雨のこと
「菜種梅雨」の例文
「菜種梅雨」は、春(3月中旬から4月上旬)の季語として、俳句や挨拶文に用いられてきました。
挨拶文の例文を、いくつか紹介します。
菜種梅雨のぐずついた日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
菜種梅雨も明け、だんだんと暖かくなってまいりました。
「菜種梅雨」を手紙などの挨拶文で使う場合、いくつか注意点があります。
地域によっては、菜種梅雨の影響があまりないところもある(北海道や東北地方)
自分が書いている時期ではなく、相手に届く時期に菜種梅雨があたるように出す
ビジネス文書には使用しない(個人宛てなら良い)
ビジネスや公的な手紙などの場合、
拝啓 菜種梅雨の候、貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
目上の方に出す手紙などの場合、
拝啓 菜種梅雨の候、○○様におかれましては一段とご清祥のこととお慶び申し上げます。
といったように、「菜種梅雨の候(なたねづゆのこう)」を使うと良いでしょう。
「菜種梅雨の候」は、「春の長雨の季節ですね」という意味で、時候の挨拶の中で最もあらたまった丁寧な言葉です。
「菜種梅雨の候」を使う場合、いくつか注意点があります。
使える時期は3月中旬から下旬にかけて
雨の少ない年には使わない
手紙などにこのような挨拶文をさりげなく入れることで、大人らしさを演出できますよ。

まとめ
春は、植物にとって成長を促す大切な雨が降ることから、この時期の雨に植物の名前が付いているものが多いのです。
そして、「菜種梅雨」の季節が終わると、
5月初旬からは「たけのこ梅雨」
5月中旬からは「卯の花くたし」
6月からは「梅雨」
がやってきます。
憂鬱になりがちな雨に花の名前をつけることで、昔の人は、雨を美しく、風情を感じるものに変えてきたのかもしれませんね。

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