いろんな雨の種類

1.朝雨(あさあめ)
朝に降る小雨のことで、「ちょうう」とも呼びます。
朝の雨は、海風と陸風のぶつかる前線付近で、局地的にわずかに降ることが多く、昼頃には上がったりします。
また、島根県八束郡では、朝だけの雨のことを「朝もだえ」と言います。
「朝雨」を用いたことわざをいくつか紹介します。
朝雨に傘いらず・・・朝降る雨はすぐに上がるので、心配いらないという意味
朝雨、馬に鞍置け・・・朝の雨はすぐに上がるので、馬に鞍を置いて外出の用意をせよという意味
朝雨は女の腕捲り(あさあめはおんなのうでまくり)・・・朝の雨はすぐにあがるから、女の腕捲りと同じように怖くないという意味

2.朝立ち(あさだち)
朝に降るまとまったにわか雨のことです。
にわか雨は時間や季節によって、様々な呼び名があります。
夕立(ゆうだち)・・・夏の夕方に降るにわか雨のこと
夜立ち(よだち)・・・夜に降るにわか雨のこと

3.姉こ天気(あねこてんき)
秋田県鹿角郡で、降ったり止んだり晴れたり、変わりやすい天気のことを言います。

4,一石日和(いっこくびより)
福岡市
宮崎県西臼杵郡
で、降ったり晴れたり、天気の定まらない状態のことを言います。
これは、「降るごと降らざるごと」の「ごと」を「五斗」にかけて、「五斗と五斗を合わせると一石になる」という洒落からできた言葉です。
また、尾張では「一両日和(いちりょうびより)」と言われています。

5.陰霪(いんいん)
「霪」は10日も続くような長雨のことで、気が滅入るような雨のことです。
霪淋(いんりん)
淋霪(りんう)
とも言います。

6.淫雨(いんう)
長雨のことで、とくに穀物に害を及ぼすような長雨のことを言います。

7.陰雨(いんう)
しとしとと降り続く陰気な雨のことです。
「三国志」に、「読書三余(どくしょさんよ)」つまり、読書に利用すべき3つの余暇は、
冬は歳の余
夜は日の余
陰雨は時の余
なりとあります。
これは、「晴耕雨読」が生活の基本であり、
農作業の忙しくない季節の冬
1日の内では夜
雨降りの時
は余暇になり、暇がないとは、不勉強の言い訳だという意味です。

8.淫霖(いんりん)
「淫」も「霖」も長雨のことで、うっとおしく降り続く雨のことを言います。

9.淫潦(いんろう)
大雨にして長雨のことを言います。
「潦」は、
雨水
たまり水
にわたずみ
長雨
のことです。
10.丑雨(うしあめ)
丑の刻(午前2時頃)に降りはじめる雨のことで、1日中降ると言われています。
11.卯の時雨(うのときあめ)
卯の刻(午前6時頃)に降りだす雨のことで、すぐに止むと言われています。
ことわざに
「子は長し、丑は1日、寅は半、卯は一時」・・・時刻と雨が降り続くか否かをあらわしている
「卯の時雨に傘を脱げ」・・・早朝に降りだした雨は、間もなく晴れるので、雨具の用意はいらないという意味
というのがあり、「卯の時雨」はすぐに止み、天気になる前兆とされました。
12.親方雨(おやかたあめ)
夜に雨が降り、朝には上がってしまう雨のことです。
これは、屋外で作業する親方(大工さん)にとって、昼間の雨は困りますが、夜間に降る雨はとくに差し支えがないことから名付けられています。
京都の丹後地方の方言で、主に関西地方で使われています。
大阪では、このような天候を
親方日和(おやかたびより)
と言い、逆に昼間に雨が降って夜晴れることを
やっこ日和
と言います。
13.過雨(かう)
にわか雨、通り雨のことです。
14.佳雨(かう)
「いいお湿り」と人から喜ばれる雨のことで、「好雨(こうう)」とも呼ばれます。
農耕民族として生きてきた日本人にとって、雨は農作物の出来不出来に直結するものでした。
よって、農作物に影響を与える雨に名前をつけたと考えられます。
例えば、
慈雨(じう)・・・万物をうるおし育む恵みの雨
水取雨(みずとりあめ)・・・田植えに必要な雨
喜雨(きう)・・・日照りの続いた後に降る恵みの雨
苦雨・・・作物の実りを妨げ、人を苦しませるほどの長雨
などがあります。
15.嘉雨(かう)
喜ばしくめでたい雨のことです。
16.風くそ(かぜくそ)
島根県簸川(ひかわ)地方で、風が止む前に降る雨のことを言います。
島根県出雲市能義郡では、「かざくそ」と言われています。
17.風の戯え(かぜのそばえ)
「そばえ」とは戯れのことで、愛知県知多郡で、風にまじって降る小雨のことを言います。
島根県益田市
江津市
香川県大川郡
では、「かぜそばえ」と言い、風にともなうにわか雨のことを指します。
18.騎月雨(きげつう)
「騎月」は月超しのことで、「騎月雨」とは、月をまたぐ雨のことを言います。
月末近くの24日、25日に降る雨は、翌月まで降り続くこともあると言われています。
19.気違い雨(きちがいあめ)
晴れたと思ったら、急に激しく降ってくる雨のことで、天気雨のことを指す地方もあります。
20.久雨(きゅうう)
久しく降っている雨のことです。
久しくとは、日数ではなく、長時間というくらいの意味を表します。
21.急雨(きゅうう)
急に降りだす雨(にわか雨)のことで、「早雨(そうう)」とも言います。
22.暁雨(ぎょうう)
朝方に降る雨のことで、
あかつきあめ
あかときあめ
とも呼びます。
23.狂霖(きょうりん)
異常なほど長く続く雨のことです。
24.苦雨(くう)
作物の実りを妨げ、人を苦しませるほどの長雨のことで、「窘雨(きんう)」とも言います。
25.月旦雨(げったんう)
その月の1日に降る雨のことで、「月額雨(げつがくう)」とも言います。
山口県地方には「朔日雨は三日回り(ついたちあめはみっかまわり)」という言葉があります。
これは、月の最初の日が雨だと、3日ごとに雨が降るという意味です。
26.懸雨(けんう)
「懸」はかかる、ぶら下がるの意味で、「懸雨」は急に降りかかる雨のことを言います。
27.げんひち雨(げんひちあめ)
群馬県吾妻郡で、長雨のことを言います。
28.好雨(こうう)
待ち望んでいる時に、ちょうど降る雨のことで、「佳雨(かう)」とも言います。
29.恒雨(こうう)
「恒」は、つねに変わらないという意味で、「恒雨」とは、ある時間、一定の強さで降る雨のことを言います。
30.交月雨(こうげつう)
月をまたぐ雨のことで、
騎月雨(きげつう)
過月雨(かげつう)
翔月雨(しょうげつう)
とも言います。
31.甲子の雨(こうしのあめ)
「甲子」は、十干十二支を組み合わせた干支の第1番目のことです。
「甲子(きのえね)の雨は60日降る」と言われますが、60日は干支が1周する期間なので、俗説とされています。
32.洪霖(こうりん)
「洪」は大水、「霖」は長雨のことで、強い雨が数日に渡って降り続けることを言います。
33.こし雨(こしあめ)
しとしとと降る小雨、また、いつまでも降り続く雨(長雨)のことです。
34.五風十雨(ごふうじゅうう)
5日ごとに風が吹き、10日ごとに雨が降ることです。
風雨が時を得て、農作業に好都合なことから、転じて世の中がうまく治まっている意味を表します。
「十日の雨土くれを動かさず、五日の風枝を鳴らさず」という類似のことわざもあります。
35.地雨(じあめ)
強弱の変化がなく、一定の強さで長い間降り続ける雨のことを言います。
地雨は、梅雨のような雨の多い時期に使われることが多い言葉です。
また、温暖前線の付近では、強く降るようです。
36.駛雨(しう)
馬の走りを見るような、にわか雨のことを言います。
北史に、「電光目を奪ひ、駛雨霑(うるお)ひ灑(そそ)ぐを見る」とあります。
37.時雨(じう)
秋の末から冬の初めにかけて、一時的に降ったり止んだりする雨のことで、「しぐれ」とも読みます。
38.疾雨(しつう)
「疾」には、
はやい
烈しい
という意味があり、「疾雨」は、速い雨脚の猛雨という意味を表します。
39繁雨(しばあめ)
にわか雨のことで、「村雨(むらさめ)」とも言います。
「繁」は、
しばしば
しきりに
という意味があり、
「柴雨」
「屡雨」
とも書きます。
40.じぼたら雨(じぼたらあめ)
和歌山市で、じめじめと降り止まない雨のことを言います。
41.衆雨(しゅうう)
「衆」は、多いという意味で、「衆雨」は長雨のことです。
同じような意味を表す言葉に、
修霖(しゅうりん)
秋霖(しゅうりん)
があります。
42.宿雨(しゅくう)
連日降り続く雨のことです。
また、「宿雲(しゅくうん)」は夜来の雲の意味で、「宿雨」には、前夜からの雨という意味もあります。
43.順雨(じゅんう)
季節にしたがって、順調にほどよく降る雨のことです。
44.霎雨(しょうう)
ひとしきり降る小雨のことです。
また、「霎々」は雨の音を表します。
45.常雨(じょうう)
常に雨が降っていることを言います。
止まない雨はなく、誇張された言い方です。
46.迅雨(じんう)
「迅」は、はやいという意味で、「迅雨」は、急に強く降りだした雨のことを言います。
47.積雨(せきう)
連日降り続く雨のことです。
48.早雨(そうう)
にわか雨のことで、類語に「急雨(きゅうう)」があります。
49.叢雨(そうう)
「叢」には、
くさむら
むらがる
あつまる
にわかに
という意味があり、「叢雨」は、ひとしきり強く降り、止んだかと思うとまた降りだす雨のことを表します。
50.漫ろ雨(そぞろあめ)
「漫ろ」には、
なんとなく
はっきりした理由もなく
という意味があり、「漫ろ雨」とは、思いがけなくも降りだす雨のことを表します。
51.たち雨(たちあめ)
栃木県安蘇郡で、にわか雨のことを言います。
52.旦雨(たんう)
「旦」は、朝のことで、「旦雨」は、朝に降る小雨のことを表します。
また、
朝雨(あさあめ)
暁雨(ぎょうう)
とも言います。
53.昼雨(ちゅうう)
昼に降る雨のことです。

54.通り雨(とおりあめ)
ひとしきり降って、間もなく晴れ上がる雨のことで、「にわか雨」とも言います。
夏のにわか雨のことを、
夕立(ゆうだち)
驟雨(しゅうう)
と言います。
55.長雨(ながあめ)
幾日も降り止まない雨のことで、
霖雨(りんう)
淫雨(いんう)
とも言います。
56.七つ下がりの雨(ななつさがりのあめ)
「七つ下がり」は、午後4時過ぎのことです。
「七つ下がりの雨と四十過ぎの道楽はやまぬ」と昔から言われるように、なかなか止まない雨のことを言います。
57.俄雨(にわかあめ)
急に降りだし、それほど待たずに止む雨のことで、
急雨(きゅうう)
通り雨(とおりあめ)
驟雨(しゅうう)
とも言います。
58.霈霖(はいりん)
「霈」は大雨、「霖」は長雨のことで、災害が心配な雨のことを言います。
59.走り雨(はしりあめ)
本降りになる前にぱらぱらとくる雨のことです。
また、梅雨を思わせる気候を「走り梅雨」と言います。
60.晩雨(ばんう)
晩に降る雨のことで、「晩霖(ばんりん)」は、晩に降る長雨のことです。
61.肘笠雨(ひじがさあめ)
急に降りだす雨のことです。
突然の雨で笠をかぶる間もなく、とっさに肘で雨をしのごうとする様子から名付けられたと言われています。
「ひじあめ」とも言い、
にわか雨
夕立(ゆうだち)
驟雨(しゅうう)
も同意語で使われます。
62.一雨(ひとあめ)
雨が1度降ること、また、ひとしきり降る雨のことを言います。
63.一落とし(ひとおとし)
鹿児島県肝属郡で、一降りの雨のことを言います。
64.一絞り(ひとしぼり)
雨雲を一絞りしたかのように、ひとしきり雨が降ることを言います。
65.不浄流し(ふじょうながし)
熊本県玉名郡で、祭礼直後に降る雨のことを言います。
「不浄」は、穢(けが)れていることを言いますが、大小便や便所の意味もあります。
66.暮雨(ぼう)
夕暮れに降る雨のことです。
67.盆雨(ぼんう)
水の入った容器をひっくり返したように、短時間降りつのる雨のことです。
同意語に、「翻盆雨(ほんぼんう)」があります。
68.まばら雨(まばらあめ)
戯れのように、ぱらぱらときて、すぐに止んでしまう雨のことです。
「疎雨(そう)とも言います。
69.村雨(むらさめ)
強く降ってすぐ止む雨のことで、
群雨
叢雨
とも書きます。
同じような意味を表す言葉に、
にわか雨
通り雨
驟雨(しゅうう)
白雨(はくう)
繁雨(しばあめ)
があります。
70.夜雨(やう)
夜降る雨のことです。
71.夜春(やしゅん)
夜の雨のことです。
72.夜来の雨(やらいのあめ)
昨夜以来降り続いている雨のことです。
73.遣らずの雨(やらずのあめ)
客や恋人など訪れてきた人の帰るのを、引き留めるかのように強く降りだす雨のことです。
「留客雨(りゅうかくう)」同じような意味の長雨のことを言います。
74.夕雨(ゆうさめ)
夕方の雨のことで、「せきう」とも言います。
75.夜上がり(よあがり)
夜のうちに雨が止むことです。
「夜上がりは再び雨が近い」とも言われます。
76.宵の雨(よいのあめ)
日没から間もない時刻に降る雨のことで、「宵雨(しょうう)」とも言います。
77.夜雨(よさめ)
夜の雨のことです。
78.昨夜の雨(よべのあめ)
前夜に降った雨のことです。
79.夜半の雨(よわのあめ)
夜更けの雨のことです。
80.霖雨(りんう)
長雨のことで、季節によって呼び方があります。
春霖雨・・・春の長雨のこと
秋霖雨・・・秋の長雨のこと
また、長雨とは、3日以上続く雨のことを言います。
81.淋雨(りんう)
長雨のことで、「霖雨(りんう)」と同じ意味を表します。
82.霊雨(れいう)
人々の望むときに降る恵みの雨のことで、類語に「慈雨(じう)」があります。
83.連雨(れんう)
何日間も降り続く長雨のことで、「連霖(れんりん)」とも言います。
84.雨こ(あめこ)
青森県で、弱い雨のことを言います。
秋田県では、「あめっこ」と言います。
85.雨礫(あめつぶて)
「礫」は小石のことで、「雨礫」とは、石ころのような大粒の雨のことです。
濡れるというよりは、当たるといった感じの烈しい雨のことを表します。
86.あらこと
鳥取県八頭郡で、暴風雨のことを言います。
87.主従雨(あらぶりのあめ)
烈しい雨のことです。
88.大荒れ(おおあれ)
暴風雨のことで、台風の時の天候のことを言います。
「大荒れ」とは、暴風警報級の強い風が吹き、一般には雨または雪などを伴った状態とされています。
89.大車軸(おおしゃじく)
新潟県南蒲原郡で、車輪の様に雨脚の太い雨のことを言います。
90.大降り(おおぶり)
強く烈しい雨のことです。
反対語は、「小降り(こぶり)」です。
91.お湿り(おしめり)
乾いていた空気や地面を、適度にうるおしてくれたと感じるような雨のことです。
92.男降り(おとこぶり)
大粒の強い雨のことです。
他にも、雨の降り方に男や女を用いた梅雨の言葉があります。
男梅雨(おとこつゆ)・・・烈しく降ってさっと止む
女梅雨(おんなつゆ)・・・しとしとと長く降り続く
93.片降り(かたぶり)
局地的な雨のことです。
ある場所では雨が降っているのに、隣り合ったところでは降っていないというようなことがあり、
片雨(かたあめ)
私雨(わたくしあめ)
とも言います。
94.門掃位(かどはきぐらい)
岡山県苫田郡で、埃をしずめる程度の微妙な雨のことを言います。
95.鬼雨(きう)
鬼のしわざかと思われるような、並外れた大雨のことです。
96.きーぶーりあみ
沖縄県黒島の言葉で、「煙雨」と書き、小糠雨(こぬかあめ)のことを言います。
小糠雨とは、音もなく降る小さい水滴の雨のことです。
97.強雨(きょうう)
短時間のうちに烈しく降る雨のことです。
また、「強風雨(きょうふうう)」は、それに強い風がともなうものです。
98.洪雨(こうう)
「洪」は、おおみずの意味で、洪水を引き起こしかねないほどの大雨のことを言います。
99.行雨(こうう)
ひとしきりの雨のことです。
100.豪雨(ごうう)
強く降る大雨のことです。
梅雨末期に発生することが多く、洪水や土砂崩れなどを引き起こし、多数の被災者をだすこともあります。
局地的な場合は、「集中豪雨(しゅうちゅうごうう)」よ呼ばれます。
101.小雨(こさめ)
わずかに降る雨のことで、「しょうう」とも読みます。
同じ意味を持つ言葉に、
小降り(こぶり)
微雨(びう)
などがあります。
102.ごず降り(ごずぶり)
岩手県気仙郡・平泉で、豪雨のことを言います。
103.細雨(こまあめ)
細かい雨のことで、「さいう」とも言います。
同じような意味を持つ言葉に、
霧雨(きりさめ)
蜜雨(みつう)
などがあります。
104.ころど雨(ころどあめ)
岩手県気仙郡で、局地的な雨のことを言います。
105.ざぶり
強いにわか雨のことで、
京都府竹野郡
岡山県南部
宮崎県東諸県郡
などで使われる言葉です。
106.残雨
降り残りの雨のことです。
名残の雨といった趣きで用いられることもあります。
107.ざんざ降り(ざんざぶり)
ざんざんと強く降る雨のことで、擬音的表現で使われる言葉です。
108.時化降り(しけぶり)
静岡県浜名郡で、強風をともなった雨のことを言います。
「時化」は、海が荒れることですが、地方によっては、
長雨(ながあめ)
梅雨(つゆ)
を指します。
109.篠突く雨(しのつくあめ)
「篠」は稈(かん)が細く群がって生える竹で、その束を突き下ろすように、勢いよく烈しく降る雨のことを言います。
110.柴榑雨(しばくれあめ)
強い大降りの雨のことを言います。
「榑」は雑木を伐って作った板のことで、それを筏(いかだ)に組んで、大雨で水を増した川に流す情景から生まれた言葉です。
111.繁吹き雨(しぶきあめ)
しぶきとなって降る雨のことです。
滋賀県彦根
島根県石見
では、強風で斜めに降る雨、「吹き降り」のことを言いますが、
和歌山県日高郡
では、「小糠雨(こぬかあめ)」のことを言います。
112.しぽしぽ雨(しぽしぽあめ)
新潟県で、しっとりと降る雨のことを言います。
佐渡・・・「しょぼしょぼ雨」
群馬県吾妻郡・・・「しぶしぶ雨」
という表現があり、いずれも同様の雨のことを表しているようです。
113.小雨(しょうう)
少量の雨、また、雨が少ないことを言います。
反対語は、「多雨(たう)」となります。
114.深雨(しんう)
「深」には、
ひどく
はなはだしい
という意味があり、「深雨」はひどく降る雨のことを言います。
115.甚雨(じんう)
「甚」は、はなはだしいという意味で、ひどく降る雨のことを言います。
116.疎雨(そう)
「疎」は、まばらなことで、パラパラとまばらに降る雨、または、大粒の雨のことを言います。
117.滝落し(たきおとし)
滝の水が流れ落ちるような、すさまじい雨のことです。
118.たて洪水(たてこうずい)
山梨県で、豪雨のことを言います。
119.注雨(ちゅうう)
大雨のことです。
「雨注」は、雨、あるいは何かが、雨のように降りそそぐという意味です。
120.鉄砲雨(てっぽうあめ)
鉄砲の弾丸のように、烈しい勢いで降ってくる大粒の雨のことです。
121.土砂降り(どしゃぶり)
烈しい大粒の雨のことです。
土砂をはじき飛ばすくらいに強く降る、というイメージからできたようです。
122.殴り雨(なぐりあめ)
岐阜県飛騨で、横殴りの雨のことを言います。
123.沛雨(はいう)
さかんに降る雨、また、「沛然と」という形容があてはまるような雨のことで、「霈雨(はいう)」とも言います。
「沛」も「霈」も大雨のことで、「霈沢(はいたく)」も同じ意味を表す言葉です。
124.飛雨(ひう)
風に吹きちらされる雨のことです。
125.風雨(ふうう)
強風をともなった雨のことで、「吹き降り(ふきふり)」とも言います。
126.片雨(へんう)
一片の雨ということから、局地的な雨のことを言います。
「夕立(ゆうだち)」は夏に降る片雨で、「片雨」と同じような意味を表す言葉に、
私雨(わたくしあめ)
外持雨(ほまちあめ)
帆待雨(ほまちあめ)
があります。
127.滂沢(ぼうたく)
「滂」は水勢のさかんなさまで、大雨のことを言います。
128.暴風雨(ぼうふうう)
烈しい風をともなった大雨のことです。
「暴風雨」は、
台風
発達した低気圧
季節風
などの影響によって生じ、各地に被害をもたらすような気象状態です。
129.外持雨(ほまちあめ)
局地的に降るにわか雨のことで、「帆待雨(ほまちあめ)」とも書きます。
「ほまち」とは、主人に内密で家族や使用人が開墾した田畑、金のことを言います。
そこから、臨時収入や役得のように、限られた所だけに降る、不公平に見える雨となったようです。
130.本降り(ほんぶり)
本格的に降りだし、なかなか止みそうにない雨のことです。
有名な川柳に、
「本降りに成つて出て行く雨やどり」
というのがあります。
131.八重雨(やえあめ)
七重八重に降りしきる雨のことです。
132.横雨(よこあめ)
風が強くて、横殴りに降る雨のことです。
新幹線の窓をたたく雨は、ほとんど水平方向の横雨です。
横方雨(よこざまあめ)
横吹雨(よこしぶき)
斜雨(しゃう)
とも言います。
133.零雨(れいう)
「零」はこぼれ落ちることで、パラパラと静かに降る雨のことを言います。
また、「微雨(びう)」とも言います。
134.私雨(わたくしあめ)
限られた区域に降る雨のことで、とくに、
有馬
鈴鹿
箱根
などの山地に降るものが知られています。
片雨(へんう)
外待雨(ほまちあめ)
我儘雨(わがままあめ)
とも言います。

135.雨筋(あますじ)
雨が系を引いている様に見える雨のことです。
同じような意味を表す言葉に、
雨糸(うし)
糸引く雨(いとひくあめ)
があります。
136.天津水(あまつみず)
天の水のことで、古語では雨のことを言います。
137.暗雨(あんう)
闇夜あるいは暗がりに降る雨のことです。
138.硫黄の雨(いおうのあめ)
「黄色の雨の正体は、赤松の花粉だった」という、明治のころにあった東京での話です。
139.糸雨(いとあめ)
糸のように細い雨のことで、
いとさめ
しう
とも読みます。
140.雲雨(うんう)
雲と雨のことを言います。
「三国志」に、「蛟竜雲雨を得る」とあり、力量を発揮する機会を得ることを言います。
また、宋玉の「高唐賦」に、「旦(あした)には朝雲と偽り、暮には行雨と為す」という一部から、「雲雨」をもって男女の契りのことを表します。
141.簷雨(えんう)
「簷」は、
のき
ひさし
のことで、「簷雨」とは、端からしたたり落ちる雨のことを言います。
142.御庭洗(おにわあらい)
祭の後に降る雨のことです。
143.快雨(かいう)
さっぱりと気持ちのよくなる様な雨のことで、「急雨(きゅうう)」の意味で使われることもあります。
144.怪雨(かいう)
旋風や竜巻などにより、空中に巻き上げられたものが、それのみで、あるいは雨をともなって降ってくることを言います。
今までに観察されている空中に巻き上げられたものには、
魚類
両生類
昆虫類
穀物
木の実
花粉
泥土
などがあります。
145.岳雨(がくう)
山岳地帯に降る雨のことです。
146.巌雨(がんう)
岩山あるいは海岸の岩場に降る雨のことです。
147.甘露の雨(かんろのあめ)
「甘露」とは、中国の古い伝説にある、仁政が行われれば、王者の徳を天が愛でて降らせるという甘い霊薬のことで、「甘露の雨」は、そのようなありがたい雨のことを言います。
148.峡雨(きょうう)
峡谷に降る雨のことです。
ちなみに谷間に降る雨は、
渓雨(けいう)
谷雨(こくう)
と言います。
149.黒い雨(くろいあめ)
井伏鱒二の長篇小説「黒い雨」は、広島における原爆の悲劇を生活者の目を通して描いたものですが、それ以来、原爆地に降る黒い放射能雨の代名詞となりました。
150.毛雨(けあめ)
毛のように細い雨のことです。
151.血雨(けつう)
赤土など丹の色を帯びた土砂が雨にまじって降るもののことを言います。
152.江雨(こうう)
「江」は大きな川の意味で、川面に降る雨のことを言います。
153.香雨(こうう)
よい香りのする雨のことです。
154.黒雨(こくう)
工業地帯や都市の煤煙をふくむ雨、または、空を暗くして降りかかる豪雨のことです。
155.沙雨(さう)
こまかな雨、細雨のことです。
156.山雨(さんう)
山から吹き下ろす風、「山颪(やまおろし)」につれて降ってくる雨のことです。
157.惨雨(さんう)
寂しさをつのらせる雨のことです。
「悲雨惨雨」などと使います。
158.酸性雨
自動車の排気ガス
石炭・石油の燃焼
から生じる
硫黄酸化物
窒素酸化物
により大気が汚染され、酸性濃度の高い雨が降るようになりました。
「酸性雨」は、汚染源から遠く離れた地域でも免れないので、地球上の生命に対する深刻な影響が懸念されています。
「酸性雨」のことを、
緑のペスト・・・欧州
空中鬼・・・中国
と呼んでいます。
159.愁雨(しゅうう)
人に愁いを与える雨のことです。
160.潤雨(じゅんう)
人や作物に潤いを与える雨のことです。
161.松雨(しょうう)
松に降りかかる雨のことです。
162.清雨(せいう)
清らかな雨のことです。
163.静雨(せいう)
静かに降る雨のことです。
164.清露(せいろ)
清らかに美しい雨のことです。
165.屑雨(せつう)
細かい雨のことです。
166.窓雨(そうう)
窓に降りかかる雨のことです。
167.沢雨(たくう)
万物を潤す雨のことです。
168.竹雨(ちくう)
竹林に降る雨のことです。
169.天水(てんすい)
天から降ってくる恵の雨のことです。
天水桶(てんすいおけ)
天水田(てんすいでん)
天水農業(てんすいのうぎょう)
などと使い、有効に利用される雨水について称することが多いです。
170.泥雨(どろあめ)
中国の黄砂
サハラ砂漠の土
などが風に運ばれ、雨に混じって降るもので、「でいう」とも言います。
北陸地方沿岸部では、冬から春にかけて黄砂まじりの雪が降ったりするそうです。
171.放射能雨(ほうしゃのうう)
核爆発によって放射される人工放射能が検出される雨で、生物の生活環境を汚染し、危険このうえないものです。
172.野雨(やう)
野にいて防ぎようのなく降られる雨のことです。
173.和雨(わう)
人や作物に優しい雨のことです。
174.雨降り(あめふり)
映画のフィルムが古くなり、スクリーンに雨が降っているように、何本も何十本も縦筋が映るもののことを言います。
175.一味の雨(いちみのあめ)
「一味」は、「あまねく一様に」ということで、草木にへだてなく降り注ぐ雨の意味から転じて、仏教が広く流布し、誰彼なく人々の心を潤すことを言います。
176.雨注(うちゅう)
弾丸や矢がさかんに飛んでくる様子を雨にたとえたもので、降りしきる雨のことを言います。
177.雨飛(うひ)
本来は、強風にあおられ雨が烈しく降ることを言いますが、そのように物が飛んでくることも表します。
「弾丸雨飛(だんがんうひ)」などと使います。
178.落葉時雨(おちばしぐれ)
葉の落ちる音を時雨に例えたものです。
179.花雨(かう)
実景としては想像しがたいですが、花が雨のように降ることです。
とくに、天上から降る花をいい、神仏の加護のあるしるしと見ます。
また、花々に降る実際の雨のことも表します。
180.川音の時雨(かわとのしぐれ)
川を流れる水音を時雨に例えたものです。
181.心の雨(こころのあめ)
心がふさぎ、晴れやかでないさまを表した言葉です。。
182.心の雨風(こころのあめかぜ)
心が千々に乱れ、落ち着きを失って晴れないことを言います。
183.木の葉時雨(このはしぐれ)
紅葉した木の葉が時雨のように吹き散ること、またその音のことで、「木の葉の雨」とも言います。
184.木の実時雨(きのみしぐれ)
木の実が熟してぽとぽと落ちるさまを時雨にたとえたものです。
185.耳雨(じう)
耳鳴りのことで、絶えず鼓膜の中に雨が降っているような音がすると言われています。
186.地獄雨(じごくあめ)
歌舞伎「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」の、切られ与三(よさ)とお富の事件を題材にして昭和20年代に作られ、はやった歌謡曲「お富さん」の中の言葉です。
「命短く渡る浮世は雨もつらいぜ、お富さん。エーサオー、地獄雨」
作詞:山崎正
作曲:渡久地政信
歌手:春日八郎
187.蝉時雨(せみしぐれ)
まるで天から降るように鳴きしきる蝉の声を、時雨の音に例えた言葉です。
188.袖の雨(そでのあめ)
悲しみの涙で衣の袖が濡れるのを雨にたとえたもので、
袖の時雨(そでのしぐれ)
袖時雨(そでしぐれ)
とも言います。
189.弾雨(だんう)
機銃掃射などで、弾丸が雨のように烈しく飛んでくることで、「砲煙弾雨(ほうえんだんう)」などと言います。
190.血の雨(ちのあめ)
破傷沙汰などで多くの死傷者が出て、流血の惨事になることのたとえです。
191.涙の雨(なみだのあめ)
涙が雨のように流れることで、「涙の時雨(なみだのしぐれ)」とも言います。
192.火の雨(ひのあめ)
火の粉が雨のように降り落ちることです。
193.法雨(ほうう)
雨が万物をうるおすことから、仏法が衆生を救うことを言います。
救いの雨、慈雨(じう)の雨であり、
みのりのあめ
のりのあめ
とも言います。
194.松風の時雨(まつかぜのしぐれ)
松の梢を吹く風の音を時雨のそれと聞きなすもので、「濡れぬ雨」といって松風の音を言うこともあります。
195.虫時雨(むししぐれ)
虫の鳴き声が時雨のように聞こえるもの。
196.沐雨(もくう)
雨風に身をさらして苦労することを言います。
晋書に「甚雨(じんう)沐(かみあら)い、疾風に櫛削(くしげず)り、万国を置(た)てたり」という言葉があり、そこから「櫛風沐雨(しっぷうもくう)」という慣用句が生まれました。
197.流星雨(りゅうせいう)
「流星」とは、大気圏に突入した宇宙塵などが、高速度で落下する際に発光するものです。
その流星群が短時間観測されるときがあり、それが星の雨のように見える現象のことを言います。

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