風に関する季語とは

日本は四季折々の豊かな自然が魅力的であり、様々な観点で四季を楽しむことができます。
四季の楽しみ方において、風にも四季を感じるものがあるのをご存知でしょうか?
風は季節や時期によって様々なものがあり、季語となる言葉もあるので、和歌などにも多く使われています。
私たちは日々を過ごす上で、風とは密接な関係にあるといえるでしょう。
それでは、四季を感じさせる季語にはどのようなものがあるのでしょうか。
風に関する季語について、どのようなものがあるのか説明していきますね。
季語とは
季語は俳句などでよく使われる言葉であり、季節を表す言葉となります。
季節を表す表現であれば、どんな言葉でも季語になり得るので、「春」、「夏」、「秋」、「冬」という単語でさえも季語だといえるでしょう。
季語ってなんだか難しい…と考える必要はなく、季節をイメージできるものであれば季語となります。
つまり、季語とは自分が季節を感じる言葉であり、その言葉が他人においても同じ季節を感じるものだといえるでしょう。
それでは風にまつわる季語にはどのようなものがあるのでしょうか。
風に関する春の季語

長く寒い冬が終わり、暖かな春が到来します。春の到来はあらゆるところで感じるようになり、春に吹く風もその内の1つだといえます。
冬に降り積もった雪を解かすような暖かい春の風は、新たな季節の到来を感じさせ、木々の新芽を柔らかく包み込むような優しさも感じさせてくれるでしょう。
風に関する春の季語にはどのようなものがあるのでしょうか。
風光る(かぜひかる)
明るく晴れた春の日に、木々を優しく揺れ動かすようなやわらかな風です。
春の日差しがキラキラとしているところから、「光る」という表現が使われています。
春疾風(はるはやて)
春の暖かい南寄りの風であり、突然強く吹く突風となります。
黒北風(くろぎた)
京都府中郡において、黒く厚い雲に覆われている時に吹き付ける北西風となります。
「くろきた」は京都府舞鶴市周辺で、早春の北風をいいます。
春塵(しゅんじん)
主に関東地方で吹く風であり、乾燥した地面の砂埃を巻き上げるように吹き付ける春の風となります。
東風(こち)
春から夏にかけて吹く東寄りの風であり、雨を伴うことが多いのが特徴です。
氷を解かして、春を告げる風として、古来より春の風として伝えられています。
風に関する夏の季語

暖かい春が終わりを告げる頃、いよいよ暑い夏の到来です。
五月晴れの初夏の風は、新緑の木々を揺らし、爽やかな風が吹き抜けます。
初夏が過ぎる頃、オホーツク海高気圧と太平洋高気圧がぶつかり合うことにより、梅雨前線が生じて梅雨入りします。
どんよりとした梅雨空の下、ジメジメとした暑さとともに長雨が続くことになり、梅雨前線は徐々に北上していきます。
梅雨明けを迎えることにより、本格的な夏の暑さが到来し、照り付けるような夏の日差しに見舞われることになるでしょう。
夏は初夏、梅雨、盛夏といった様々な時期があり、様々な夏の季語を楽しむことができますよ。
あいの風
日本海沿岸において、4月下旬から8月にかけて吹く夏の風となります。
黒南風(くろばえ)
梅雨の時期にどんよりとした梅雨雲とともに吹く夏の風であり、暗い梅雨雲を吹く南風となります。
白南風(しろばえ)
梅雨が明けて本格的な夏が到来し、晴天の日に吹き渡る南風または南東風となります。
麦の秋風(むぎのあきかぜ)
麦が成熟する初夏の頃に、野原を吹き渡るサラッとした涼しげな夏風となります。
木の芽流し(きのめながし)
平地よりも標高が高く、寒冷な土地では平地よりも遅く木の芽が芽吹きます。
初夏の頃、その芽吹いた木の芽に優しく吹き付ける湿った南風であり、温かく湿気を帯びているのが特徴です。
風に関する秋の季語

盛夏の暑さが過ぎると、山々は綺麗に染まり、稲穂も大きく実る秋が到来します。
早秋から晩秋にかけて、様々な色合いに染まった山々は、次第に枯れていくでしょう。
秋は冬に向かっていく過程において、木は枯れていき、曇りの日が多くなっていくので、どんよりとした雰囲気になっていきます。
色が抜けていく世界において、秋はどことなく哀愁漂うものだといえるでしょう。
秋には冬の到来を予感させるような風だけでなく、代風による強風・暴風など様々な風を感じることができますよ。
初嵐(はつあらし)
秋の到来を感じさせる強い風であり、台風が来る前の初秋に吹く冷たい風となります。
大西風(おおにし)
瀬戸内海や八丈島での呼び名であり、晩秋に吹く強い西風となります。
低気圧通過後に吹き付ける西からの強烈な風です。
律の風(りちのかぜ)
音調に例えられた、秋らしい涼しげな風となります。
雁渡し(かりわたし)
雁を乗せて、9~10月頃に北方から吹いてくる冷たい季節風であり、雨交じりで海上が荒れることもあるのが特徴となります。
萩の下風(はぎのしたかぜ)
生い茂った萩の花の下を吹き抜けていく風となります。
風に関する冬の季語

冬になり、本格的な寒さが到来すると、肌を刺すような冷たい風が吹き込むようになります。
日本では沿岸部や山間部において、様々な地形を成しており、地域によって違った冬の風を感じることができます。
雪国の人にとって、冬の風は命の危険性があるものもあるので、冬の風は特に私たちの生活に密接なつながりがあるといえるでしょう。
冬の風は風向きが変わると、春の到来を予感させるものもあれば、命の危険につながりがあるものあります。
冬の風に関する季語にはどのようなものがあるのか説明していきます。
北颪(きたおろし)
山から吹き下ろす強い北風であり、冬の季語となります。
小春風(こはるかぜ)
初冬の頃、春が来たのかと感じるぐらいに暖かい日が続くことを小春日和といい、小春日和に吹く暖かい風となります。
八日吹き(ようかぶき)
陰暦12月8日に吹く、雪を伴った強風であり、日本海側では必ず吹雪になるといわれています。
雪風(ゆきかぜ)
雪混じりの風であり、吹雪になることが多いです。
木枯らし(こがらし)
晩秋から初冬にかけて吹く風であり、樹木を枯らしてしまうほどの吹き荒れる冷たく、寒い風となります。
まとめ
日本では自然豊かな四季を楽しめるだけでなく、四季によって様々な風を感じることができます。
古来より、風は様々な呼び名で呼ばれるだけでなく、四季に応じた季語として、後世にも語り継がれています。
風の季語を知ることにより、今以上に日本の四季を楽しめるようになるだけでなく、風に関する興味がもっと湧いてくると思いますよ。

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