「春時雨」はどんな雨?|由来や類語も解説

「春時雨」という言葉をご存じですか?
知らない方も、なんとなく春に降る雨だと言うことはわかると思います。
日本には
雨の降り方
雨の降る季節
雨の降る時間
などによって、雨に様々な名前が付けられてきました。
その数はなんと、約400種類あるとも言われています。
日本人は昔から雨と共に生活し、その細かな違いに名前を付けることで、雨を楽しんできたのではないでしょうか?
今回は、数多くある雨を表す言葉の中から、「春時雨」について、意味や由来、類語などについてご紹介します。
「春時雨(はるしぐれ)」とは?
「春時雨」とは、読んで字のごとく春に降る時雨のことです。
では、「時雨」とは何でしょう?
「時雨」とは、秋から冬にかけて、突然降ったり止んだりするにわか雨のことを言います。
もともと「時雨」とは、北西の季節風に流された雲が日本海側から太平洋側へ移動する際に盆地に雨を降らせることで、
日本海側
京都盆地
岐阜、長野、福島などの山間部
のごく狭い地域に見られる気象現象でした。
それが、俳句などの季語として用いられるようになり、冬のにわか雨を「時雨」、春のにわか雨を「春時雨」と呼ぶようになったそうです。
よって、現在「春時雨」は、春に突然降ったり止んだりするにわか雨という意味を指す言葉となりました。
「春時雨」の特徴は、降ってもすぐ止むことで、雷を伴う雨の場合は、「春雷(しゅんらい)」と言います。
「春時雨」の由来
「春時雨」の由来は、「時雨」と区別するために使われるようになったと言われています。
その違いは、雨の降る季節と関係しています。
どちらも雨の降り方は同じで、違うのは季節だけなのです。
また、「春時雨」も「時雨」も、古くから季語として俳句などで用いられてきました。
「春時雨」・・・春の季語
※春になると草花などが育ち、明るく華やかな気持ちになったり、春の訪れを嬉しく思うようなイメージ
「時雨」・・・冬の季語
※寒さや陽の短さから、少し寂しいイメージ
1文字変わるだけで、こんなにも感じるイメージが変わるなんて不思議ですね。
「春時雨」の降る時期
「春時雨」は、その名の通り、春に降ります。
時期としては、3月下旬から4月上旬(旧暦の2月末から3月)にかけてです。
「春時雨」は朝、昼、夕といった、特別決まった時刻に降ることはありません。
「春時雨」の類語
日本には「春時雨」のように、「突然降ったり止んだりするにわか雨」のことを指す雨の名前が他にもあるので、紹介します。
朝時雨(あさしぐれ)・・・晩秋から冬の朝方に降ったり止んだりする雨のこと
北時雨(きたしぐれ)・・・北風と一緒にやってくる時雨のこと
北山時雨(きたやましぐれ)・・・京都の北山方面から降る雨のこと
※京都の北山とは、「船岡山」「衣笠山」「岩倉山」の総称で、「時雨」と言えば「北山」と言うほど有名な場所
山茶花時雨(さざんかしぐれ)・・・山茶花の紅い花が咲く頃(秋から冬)に
しとしとと降る雨
横時雨(よこしぐれ)・・・横なぐりに降る時雨のこと
村時雨(むらしぐれ)・・・晩秋から初冬にかけて、ひとしきり降っては止み、              止んでは降る小雨のこと
月時雨(つきしぐれ)・・・月夜に降る時雨のこと
冬時雨(ふゆしぐれ)・・・晩秋に降る時雨のこと
※冬に降る時雨と区別するために作られた
片時雨(かたしぐれ)・・・ある場所では雨が降ったり止んだりしていて、別の場             所では晴れていること
微雨(びう)・・・わずかに降りだし、すぐに止む雨のこと
驟雨(しゅうう)・・・急にどっと降りだし、しばらくすると止んでしまう雨のこ           と
俄雨(にわかあめ)・・・急に降りだし、間もなく止んでしまう雨のこと
通り雨(とおりあめ)・・・さっと降ってすぐに止んでしまう雨のこと
村雨(むらさめ)・・・激しく降ったり、弱くなったりする通り雨のこと
「春時雨」の例文
「春時雨」は春の季語として多くの俳句で用いられてきました。
いくつか紹介します。
「春しぐれやみたる傘を手に手かな」 
作者:久保田万太郎(くぼたまんたろう)
「屋根濡るるそれに日当たり春しぐれ」 
作者:皆吉爽雨(みなよしそうう)
「おもひでの花は白桃春しぐれ」 
作者:西島麦南(にしじまばくなん)
 
まとめ
「春時雨」について様々なことがわかりました。
「時雨」と雨の降り方は同じで、降る季節が違う
「春時雨」は、春に突然降ったり止んだりするにわか雨という意味を指す言葉
「時雨」は寒く寂しいイメージだが、頭に「春」がつくだけで、暖かく華やかなイメージに変わる
「春時雨」は春の季語として、昔から俳句などに用いられてきた
「春時雨」は、春の不安定な天気を表すとともに、春の暖かさや草木を育てる恵みの雨でもあります。
そんな、情緒あふれる言葉「春時雨」、機会があればぜひ、使ってみてはいかがでしょうか?

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