「小糠雨」という言葉をご存じでしょうか?
日本には、雨を表す言葉が400以上あると言われています。
「小糠雨」はその1つで、「霧雨(きりさめ)」と同じような意味を持ち、日本人に馴染みのある「糠」が由来となっています。
そこで今回は、
「小糠雨」とは?
「小糠雨」の由来
「小糠雨」の降る時期
「小糠雨」の類語
「小糠雨」の例文
などについて、詳しく紹介します。
「小糠雨(こぬかあめ)」とは?
「小糠雨」とは、細かい糠のように降りかかる雨のことです。
「小糠雨」の「糠(ぬか)」は、米糠のように細かな様子を表す言葉で、「小」もまた細かなという意味を表しています。
したがって「小糠雨」は、細かな細かな雨が音もなく降り、傘を差さなくても良いほどの雨ということです。
しかし、いつの間にか衣服がしっとりと湿ってしまうような雨でもあります。
また、「小糠雨」は雨音を立てないことから、別名「音なき雨」とも言われます。
「小糠雨」だからと甘く見ていると、風邪をひいてしまうかもしれないので、注意しましょう。
「小糠雨」の由来
「小糠雨」は、雨が降るというよりも糠のような微細な雨粒が、空中のそこかしこから押し寄せるという感じが由来となっています。
「小糠雨」のように、雨にはそれぞれ降り方に違いがあるように、雨粒にも大きさの違いがあるのをご存じでしょうか?
雨粒の最大のサイズは、直径約6mmと言われ、それ以上大きくなると、空気の抵抗や衝突によって割れ、小さい雨粒になるのです。
上昇気流が弱いと、小さな水滴のまま地上に降ってきます。
上昇気流が強いと、水滴が大きくなり、押し上げる力も強くなるので、大粒の雨になるのです。
ちなみに、「小糠雨」の雨粒の大きさは、0.5mm以下で、通常「雨」と呼ばれるものは、雨粒の大きさが0.5mm以上のものを指します。
「小糠雨」の降る時期
「小糠雨」の降る時期は、基本的に限定されません。
これは、「小糠雨」が、季節に関係ない雨の降り方を表した言葉だからです。
しかし、降る季節によって「小糠雨」のイメージは、
春に降る「小糠雨」・・・ほんのり暖かく柔らかい
夏に降る「小糠雨」・・・ミストのようで、暑さを和らげる
秋に降る「小糠雨」・・・薄寒い
冬に降る「小糠雨」・・・冷たい
のように変わってくるのではないでしょうか。
個人的には、「小糠雨」は柔らかいイメージが強いと思うので、春に似合う言葉ではないかと思います。
また、春に降る非常に細かい雨のことを「小糠雨」、秋に降るものを「霧雨」と言う場合もあるようです。
これは、牡丹餅(ぼたもち)とおはぎは同じものですが、春は「牡丹餅」、秋は「おはぎ」と呼び方が変わるのと同じ理由です。
ちなみに、「霧雨」は、秋の季語となっています。
「小糠雨」の類語
「小糠雨」のように、「非常に細かく降る雨」の意味を持つ言葉を紹介します。
糠雨(ぬかあめ)
粉糠雨(こぬかあめ)
細雨(さいう)
霧雨(きりさめ)
どれも、「傘を差さなくても大丈夫だろう」と思わせる雨ですね。
「小糠雨」の例文
「小糠雨」を使ったことわざや例文を、いくつか紹介します。
「小糠雨」を使ったことわざ
親爺の小言と小糠の雨は後で効く(おやじのこごととこぬかのあめはあとできく)・・・大したことはないと思っていても、後で身にしみてくるという意味
親の罰と小糠雨は当るが知れぬ(おやのばちとこぬかあめはあたりがしれぬ)・・・親不孝の報いは、いつとはなしに次第に受けるものである。
小糠雨は、糸のように細かく降る雨で、長い間には濡れてしまうという意味。
また、「小糠」を使ったこのようなことわざもあります。
小糠三合あったら婿に行くな(こぬかさんごうあったらむこにいくな)・・・男は、わずかでも蓄えがあれば、婿や養子にはなるなという意味
※「小糠」とは、米を精製するときに出る粉、「小糠三合」とは、わずかな財産のこと。
また、「小糠」は、婿に「来ぬか」と誘いの言葉を真似して掛けた言葉。
「小糠雨」を使った例文
お昼を過ぎた頃から、小糠雨が降りだした
小糠雨に濡れて、風邪をひいたようだ
窓の外は小糠雨に煙っていた
まとめ
「小糠雨」とは、
細かい糠のように降りかかる雨のこと
雨音を立てないことから、別名「音なき雨」とも言われる
傘を差さなくても良いほどの雨なので、いつの間にか衣服がしっとりと湿ってしまう
雨粒の大きさが、0.5mm以下
降る季節は限定されないが、春に降る雨を指すこともある
ということがわかりました。
また、「小糠雨」という言葉は、日本人がいかに繊細な感覚を持っているかがわかる表現の1つだと言えます。
もし、「小糠雨」に出合ったら、その繊細で柔らかな雨を肌で感じてみるのも良いかもしれませんね。
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