「催花雨」はどんな雨?|由来や類語も解説

「催花雨」という言葉をご存じですか?
実は、この「催花雨」、春のいろいろな花が咲くのを手助けする雨なのです。
「催花雨」という言葉は、俳句では季語として使われるものの、日常で使うことはあまりないかもしれません。
そこで今回は、
「催花雨」とは?
「催花雨」の由来
「催花雨」の降る時期
「催花雨」の類語
「催花雨」の例文
などについて、詳しく紹介します。
「催花雨(さいかう)とは?

「催花雨」とは、桜を始め、いろいろな花を催す(早く咲かすようにせかす)雨のことを表した言葉です。
また、「花を催す雨=催花雨(さいかう)」が同音の「菜花雨(さいかう)」となり、「菜の花の咲く季節の長雨=菜種梅雨(なたねづゆ)」に用いられるようになったとも言われています。
「催花雨」・「菜種梅雨」は、もともと「菜の花が咲く頃にしとしとと降る雨」を指していました。
それが今では、菜の花だけでなく、桜などこの時期に咲く花の開花を促す雨として使われるようになったのです。
「催花雨」の由来

「催花雨」は、文字からもわかるように、「花を催す雨」のことを表しています。
昔の人は、春の花が咲き始める頃に降る雨を見て、「花を潤わせて、育ててくれている」と感じたのかもしれません。
また、「花を育てる雨」という意味を持つ
育花雨(いくかう)
養花雨(ようかう)
万物生(ばんぶつしょう)
という言葉もあります。
そして、花を育て、咲かせた雨は、花を散らせる雨へと変わっていくのです。
ちなみに、花(=桜)を散らせる雨のことを、
花散らしの雨(はなちらしのあめ)
桜流し(さくらながし)
花の雨(はなのあめ)
桜雨(さくらあめ)
と呼ぶこともあります。
満開に咲いた桜が、雨によって散ってしまうのは少し寂しく感じますが、雨に濡れた桜には、儚さや風情を感じることもできます。
「催花雨」の降る時期

「催花雨」は、3月中旬から4月にかけて降ります。
この時期は、暖かい日が続いたと思ったら、雨の日が続き急に寒くなったりと、天候が変わりやすい季節です。
そして、桜の開花が待ち遠しい季節でもあります。
日本では、中世以降、「花=桜」を指しました。
桜は、旧暦3月に咲く花ということから、旧暦3月のことを「花月(かげつ)」や「花つ月(はなつつき)」とも言います。
「催花雨」の類語

「催花雨」と同じように、「春にしとしとと降り続く雨」の意味を持つ言葉を紹介します。
菜種梅雨(なたねづゆ)・・・菜の花が咲く頃に、しとしとと降る雨のこと
春の長雨(はるのながあめ)・・・3月中旬から4月上旬(菜の花が咲く頃)に降る長雨のこと
春霖(しゅんりん)・・・霖は長雨の意味を持ち、春に降る長雨のこと
桜雨(さくらあめ)・・・桜が咲く頃に降る雨のこと
また、「催花雨」には、「花の開花を促す雨」という意味もあります。
「催花雨」と同じように、「花の開花を促すような雨」を表現した言葉を紹介します。
養花雨(ようかう)・育花雨(いくかう)・・・花や木に養分を与える雨のこと
雪解雨(ゆきげあめ)・・・雪を解かす春先の雨で、草や木の芽生えをうながす雨のこと
木の芽雨(このめあめ)・・・木の芽を発芽をうながす雨のこと
瑞雨(ずいう)・・・穀物がいきいきと育つ恵みの雨のこと
甘雨(かんう)・慈雨(じう)・・・ほどよい時に降って草木を潤し育てる雨のこと
「催花雨」の例文

「催花雨」は、俳句などで春の季語として用いられます。
「催花雨」を使った俳句を、いくつか紹介します。
催花雨や空き家に人の出入りして 作者:海老名衣子
催花雨にそっと見上げる黒枝葉 作者:菅原互酬
「催花雨」を使うことで、
春のしとしとと降る雨
寂しさや儚さ
などを表現できます。

まとめ
「催花雨」は、花、特に桜と切っても切り離せない言葉だとわかったのではないでしょうか?
日本人にとって、桜は昔から特別な花であり、春の訪れを感じることができる花です。
その特別な花の開花の手助けをしてくれる「催花雨」もまた、この季節にしか味わえません。
今年は、桜だけでなく、「桜」と「催花雨」を一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。

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