「発火雨」という言葉をご存じでしょうか?
日本は雨の多い国で、昔から人々は、
- 雨の降り方
- 雨の降る季節
などの細かな違いを感じとり、表現してきました。
なんとその数、400種類以上と言われています。
今回は、その中の1つ「発火雨」について、
- 概要
- 由来
- 降る時期
- 類語
- 例文
など、詳しく紹介します。
「発火雨(はっかう)」とは?
「発火雨」とは、24節気の「春分(しゅんぶん)」3月21日頃から「清明(せいめい)」4月5日頃に、やわらかく静かにそそぐ雨のことです。
この時期の雨は、植物にとって恵みの雨であり、一雨降る度に緑が目立ってきます。
桜の花が咲く頃まではしとしとと降り、桜の花が満開を迎えた後は、強くふるようになります。
この強く降る雨のことを、「花散らしの雨(はなちらしのあめ)」と呼び、時期は24節気の「清明(せいめい)」から「穀雨(こくう)」にかけてです。
また、「発火雨」の降る頃に吹く風を「清明風(せいめいふう)」と呼び、南東から吹いてくる穏やかな風のことを指します。
「発火雨」と「清明風」は、私たちに春が来たことを知らせてくれるのです。
「発火雨」の由来
桃の花に降る雨「桃花の雨(とうかのあめ)」が、遠めから見ると火を発しているように見えることから「発火雨」と名づけられたと言われています。
また、沖縄では、24節気の「清明」から「穀雨」の時期に、「清明祭(シーミー)」が行われます。
「清明祭」とは、親戚一同お墓に集まり、掃除やお供え物(酒、茶、お重)をした後、皆でご馳走をいただく沖縄の三代行事の1つです。
沖縄の「清明祭」の由来は、中国の「清明節(せいめいせつ)」で、別名「掃墓節(そうぼせつ)」と言い、日本で言うお盆にあたります。
「発火雨」の降る時期
「発火雨」は、24節気の「春分(3月21日頃)」から「清明(4月5日頃)」の間に降ります。
「春分(しゅんぶん)」とは、昼夜の長さがほぼ同じになる日で、この日を境に陽が延びていきます。
「清明」とは、「清浄明潔(しょうじょうめいけつ)」の略で、「すべてのものが清らかで生き生きとしている季節」という意味です。
またこの時期は、桃や杏の花が咲くことから、
- 桃花の雨(とうかのあめ)
- 杏花雨(きょうかう)
とも言われます。
「発火雨」の類語
「発火雨」と同じような意味を表す言葉をいくつか紹介します。
[box class=”box30″ title=”春分から清明の間に降る雨”]
- 桃花の雨(とうかのあめ)
- 杏花雨(きょうかう)
[/box]
[box class=”box30″ title=”静かに降る雨”]
- 春雨(はるさめ):2月末から3月の晩春に、雨脚が細かくしとしとと降る雨のこと
- 菜種梅雨(なたねづゆ):菜の花が咲く頃に、しとしとと降り続く暖かい雨のこと
- 催花雨(さいかう):菜の花が咲く頃に、花が咲くのを催促するようにしとしとと降り続く雨のこと
- 甘雨(かんう):しとしとと降り、草木を潤す雨のこと
[/box]
「発火雨」の例文
「発火雨」を使った例文を、いくつか紹介します。
- 発火雨のおかげで、草花が生き生きしているようです
- 発火雨の時期は、別れと出会いの季節でもあります
「発火雨」は、春の訪れを感じることができる雨ですが、なんだか少し寂しい気持ちにもなる雨のようにも感じます。
まとめ
「発火雨」とは、
- 24節気の「春分」3月21日頃から「清明」4月5日頃に、やわらかく静かにそそぐ雨
- 桜の花が満開を迎えた後は、強くふるようになり、「花散らしの雨」と呼ばれる
- 「発火雨」の降る頃に吹く風を「清明風」と呼ぶ
- 「桃花の雨」が、遠めから見ると火を発しているように見えることから「発火雨」と名づけられた
- 「発火雨」の時期に、沖縄では「清明祭」が行われる
- 「発火雨」は別名、「桃花の雨」、「杏花雨」と呼ばれる
ということがわかりました。
また「発火雨」という言葉から、日本人の感性の豊かさや繊細な表現力を感じとることができますね。
雨の日は、憂鬱な気分になりがちですが、素敵な雨の表現を使って楽しんでみるのもよいかもしれません。
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