最近、日本でもよく耳にする「竜巻」。
竜巻は、非常に速いスピードで移動し、短時間で狭い範囲に甚大な被害をもたらします。
日本でも、竜巻によって住宅や車などが壊れる被害がたびたび発生しています。
では、竜巻とはいったいどんなものなのでしょうか?
そこで今回は、
- 竜巻の概要
- 竜巻が発生する仕組み
- 竜巻が発生する前兆
- 竜巻の発生が多い時期
- 竜巻の発生が多い場所
などについて、紹介します。
竜巻とは
竜巻とは、積乱雲にともなう強い上昇気流により発生する激しい渦巻きで、それが地上付近にまで伸びたものです。
竜巻と台風は似ていますが、はっきりとした違いがあります。
それは、竜巻のほうが、
- 渦巻きが小さい
- 移動する距離が短い
- 風がはるかに強い
- 進路が予想できない
ということです。
またたく間に、海や地上のあらゆるものを巻き上げるので、大きな被害をもたらします。
竜巻の風速は、最大で100m/秒程度と推定されています。
また、竜巻の寿命(継続時間)は、数分程度です。
竜巻が発生する仕組み
竜巻の発生の仕組みは台風と同じで、
- 大気の状態が不安定になる
- 上層の風が強い
- 下層で大量の水蒸気を含む
となった時に発生しやすくなります。
日本で起こる竜巻のほとんどは、地上付近で風が回転しているところに、上昇気流が重なり発生すると考えられています。
これは、風が回転しながら上へあがるにつれて、回転の半径が小さくなり風が強くなるからです。
竜巻の主な要因は、
[box class=”box31″ title=”竜巻の要員”]
- スコールライン:
活発な積乱雲が次々に発生し線状に並び、激しい対流性降水や突風、気温の急降下、気圧上昇などを伴う雲列のこと - 巨大雷雨のフックエコー:
フックエコーとは、竜巻の前触れとされるエコーで、降水強度が強い部分が鉤(フック)または釣り針状に分布しているものを言う - 停滞前線の南北の移動
- 台風
- 熱帯低気圧
[/box]
などの不安定な気象条件です。
竜巻が発生する前兆
竜巻が発生する前兆には、次のようなことが起こります。
[box class=”box27″ title=”竜巻の前兆”]
- 真っ黒い雲が近づき、周囲が急に暗くなる
- 雷鳴が聞こえたり、雷光が見えたりする
- ひやっとした冷たい風が吹き出す
- 大粒の雨やひょうが降りだす
[/box]
これらの状況はすべて、竜巻が発生するような発達した積乱雲が近づいている可能性が考えられます。
とくに発達した巨大積乱雲は「スーパーセル」と呼ばれ、
[box class=”box27″ title=”スーパーセルの気象現象”]
- 強雨
- ひょう
- 竜巻
[/box]
などの激しい気象現象をもたらすことがあるので、注意が必要です。
また、発達した積乱雲の付近では、竜巻だけでなく、
[box class=”box27″ title=” “]
- ダウンバースト:
積乱雲から吹き降ろす下降気流が地表に衝突して、水平に吹き出す激しい突風のこと - ガストフロント:
積乱雲の下で形成された冷たい空気の塊が、その重みより温かい空気の側に流れ出すことによって発生する激しい突風のこと
[/box]
と呼ばれる突風にも警戒しなければなりません。
他にも、竜巻が発生し近くに迫っているサインには次のようなものがあります。
[box class=”box29″ title=”竜巻のサイン”]
- ものやゴミなどが巻き上げられながら飛んでいる
- 土煙が近づいてくる
- 耳鳴りがする
- 雲から下に伸びる「ろうと雲」が見える
- ゴーッという音がする
[/box]
少しでも異変を感じたら、頑丈な建物の中に入るなど、身の安全を守る行動をとるようにしましょう。
竜巻の発生が多い時期
近年日本では、竜巻は季節を問わず全国で発生しています。
とくに竜巻の多い時期は、夏から秋にかけてで、全体の70%を占めています。
これは、上昇気流が
- 台風
- 積乱雲
と一緒に現れるからです。
その中でも、9月は他の月と比べると、圧倒的に竜巻の発生が多いようです。
また、竜巻の発生時間は、
- 夜間よりも昼間のほうが多い
- 11時から18時にかけてがピーク
とされています。
竜巻の発生が多い場所
竜巻は、平らな場所で起こりやすいと言われています。
日本は山が多く、デコボコした土地が多いので、海上で起こることが多いようです。
唯一、内陸部で竜巻が多いのは関東平野です。
これは、広い関東平野では、
- 地表の起伏による抵抗がないので発生しやすい
- 進路を邪魔されずに進行できる
からでしょう。
また、都道府県別に見てみると、
- 北海道
- 秋田県
- 高知県
- 宮崎県
- 鹿児島県
- 沖縄県
で、発生数が多くなっているようです。
他にも、台風が北上する時、その進行方向の右手側は竜巻が発生しやすいとされています。
とくに、台風の中心付近から約100kmから600kmのエリアで多発しています。
これは、台風から少し離れた場所のほうが、上空と下層の風向・風速が違うため、竜巻の渦が発生しやすいからです。
まとめ
現在の観測・予測技術では、竜巻などの激しい突風の発生を事前に予測できないこともあります。
近年、気象庁は
- 竜巻注意情報:
竜巻などの激しい突風に関する気象情報 - 竜巻発生確度ナウキャスト:
竜巻などの激しい突風が発生する可能性のある地域の詳細な分布と予報を提供
などを発表したり、提供しています。
これらを活用しながら、私たち自身も日頃から周囲の空の様子に注意するなど、「自らの身の安全は自分で守る」という意識が重要なのではないでしょうか。
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