雪は見た目はきれいですが、たくさん降り積もると甚大な被害を引き起こします。
雪による被害がどのようなものかを知らないと、怪我をしたり大事故を起こしてしまいますよ。
雪がよく降る地域の方はもちろん、あまり降ることのない地域の方も雪による被害について知っておきましょう。
雪による被害の現状
雪による被害のことを雪害といいます。
雪害による犠牲者は平成21年11月から令和元年5月までの10年間で850人に上っており、そのうち7割が65歳以上の高齢者の方です。
普段から雪に慣れているでしょう地域住民の方でも油断すると危険な災害であるほか、観光で訪れた多くの人々も被害を受けています。
最近では、地球温暖化の影響により雪害被害が少ない地域にも大雪が降るケースもあるので、豪雪地帯ではない地域に住んでいる方も十分に注意が必要です。
雪の具体的な5つの被害
ここでは、
- 除雪中の事故
- 雪道での事故
- 停電
- 雪崩による事故
- 家屋の倒壊
について、詳しく解説します。
雪害は他の天災とは違い、雪が長期的に残るので、降っている間だけでなく降った後も周辺の地域に様々な被害をもたらします。
じつは、大雪が降った翌日以降が危険である場合が多いので、注意しておきましょう。
①除雪中の事故
雪害による死者の多くは除雪中の事故によるものです。
特に豪雪地帯では、ほとんどの家庭で家屋の倒壊を防ぐために屋根に積もった雪を落とす雪下ろしを行います。
その際に、屋根から足を滑らせて転落してしまう事故が起きてしまうのです。
また、屋根から落ちてきた雪がぶつかったり、埋まったりしてしまう事故もあわせて発生します。
犠牲者の多くが65歳以上の高齢者であることが特徴です。
②雪道での事故
雪道での事故は、豪雪地帯に限らず、雪が少ない地域においても多く発生しています。
雪は、言ってしまえば柔らかい氷です。
薄くとも積もってしまえば、低い気温によって凍り付き、非常に滑りやすくなります。
歩きなれていなかったり、気を付けていないと、滑って頭を強打したり骨折してしまいます。
また、歩行者だけでなく車での事故も多いです。
前述のように滑りやすくなるため、アイスバーンやブラックアイスバーンによる事故が多く発生します。
特に、雪道になれていない雪の少ない地域の方は注意が必要です。
また、地吹雪などによるホワイトアウトで視界不良を起こして事故を起こしてしまうことがあるので、十分な注意が必要です。
③停電
雪が電線に積もり、その重みによって電線が切れることで停電が発生します。
特に湿っていて重たいぼたん雪では停電が発生しやすいので、比較的降りやすい太平洋側の地域では気をつけましょう。
雪による交通障害で修理が遅れることもあります。
④雪崩による事故
山間部においては雪崩が発生する危険性が高いです。
雪崩の種類は大きく分けて
- 新雪が多く降る厳冬期において起こりやすい表層雪崩
- 春先など気温が高い時期に起こりやすい大規模な全層雪崩
の2つの種類があります。
また、雪崩の速さは
- 表層雪崩:時速100~200km(新幹線並み)
- 全層雪崩:時速40~80km(自動車並み)
と、とても速く、発生に気付いてから回避するのは困難です。
そのため、事前に発生しやすい場所や条件を把握しておくことが重要です。
具体的には、
[box class=”box27″ title=”雪崩の起きやすい場所・条件”]
- 斜度30度以上の急な傾斜がある場所
- 低木林や植生がまばらな場所
- 0度以下の気温が続き、短期間に大量の降雪があったとき
- 春先やフェーン現象等で気温が上昇したとき
[/box]
などといった場所や条件で発生しやすいので、気をつけましょう。
また、過去に雪崩が起きていると再び発生することがあります。
そのほか、
[box class=”box29″ title=”雪崩への対策”]
- 市町村が作成・配布しているハザードマップで危険箇所を把握
- 気象庁が発表するなだれ注意報などの気象情報を確認
[/box]
といった対策を行いましょう。
⑤家屋の倒壊
雪は一見、小さくふわふわしているので軽く思えますが、積もり続けると家屋を倒壊させるほどの重量となります。
その重さは、新雪で1㎥あたり150kgほどとなり、固まり根雪となると500kgほどになることがあります。
屋根の大きさを100㎡とすると、雪が1m積もった場合、その重さは50tぐらいになるので、家屋が潰れる可能性が発生して危険です。
もちろん、家屋だけでなく屋根のある建造物すべてに倒壊の危険性があり、積雪や着雪のほか霧氷が重りとなって木々が折れたりすることもあります。
まとめ
雪は一見するときれいですが、交通障害や大事故の原因となる危険な側面も持っていますね。
毎年その危険性を知らなかったために、怪我を負ったり、死んでしまう方が数多くいます。
雪に普段から慣れている地域の方も、その危険性を今一度再確認してください。
また、ここで挙げた雪による被害以外にも、車のマフラーに雪が詰まってしまうことによる一酸化炭素中毒や、大量の雪解け水による災害といった被害も起きています。
雪がよく降る地域の方はもちろんのこと、雪があまり降らないような地域の方も、その危険性をよく知っておくことで、自身の安全にしっかりと備えましょう。
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