雪の日は静かで幻想的な雰囲気ですので、ロマンティックな気分になりますよね。
周囲の音も聞こえないので、なんだか特別に感じます。
でも、なぜ雪が降ると静かに感じるのでしょうか?
その理由を音が聞こえるメカニズムとともに解説します。
音が聞こえるメカニズム
わたしたちが音を理解できるのは、音の振動を耳でキャッチしているためです。
そもそも、音の正体というのは、物体が振動することによって空気が押されて伝わる空気の波です。
この音の波が大きければ音が大きく聞こえ、振動数が多ければ高い音に聞こえます。
また、同じ大きさ同じ高さの音を聞いても、音の波の組み合わせによって違う音に聞こえますよ。
こうして発生した波を耳がキャッチして、鼓膜や外小骨を振動させます。
そうした振動を電気信号に変換することで、脳が音と認識するのです。
電話は、音の振動を一度電気信号に変えて、送信先で電気信号をもう一度振動に変えるという仕組みによって、遠くまで音を伝えることができます。
雪が音を消す理由
雪の日が静かに感じるのは、2つの理由があります。
- 雪が音を吸収するから
- 気温が低いと音が伝わりにくいから
気候条件によって、音の伝わり方が大きく変わってしまうのです。
これらの理由について、すこし詳しく解説します。
理由①:雪が音を吸収するから
雪が音を消す理由の一つとして、雪の結晶が音を吸収してしまうという現象があります。
その現象が発生してしまう原因として、多くの雪の結晶がそれぞれ複雑な形を取っているため、というのが挙げられます。
雪の結晶というのは、六角形や八角形のようなものに穴が開いたような形を取っており、その穴の部分に音の振動が閉じ込められてしまうために、音が聞こえなくなるのです。
そのため、踏み固められた雪よりも、新雪の方が音をよく吸収します。
また、降っている雪だけでなく地面に積もっている雪にも音は吸収されるので、いつもは地面に反射される音が吸収されてしまい、より聞こえなくなります。
雪は、条件によって80%以上の吸音効果を発揮し、その効果は、同様に吸音性に優れているグラスウールの密度の低いものと近いレベルです。
この雪の結晶は、低音域から高音域まで広い音域で高いレベルで音を吸収しますが、比較的中低音域の音をよく吸収します。
積雪が深いほど、その効果は強くなります。
高音域の音の方がどちらかというと伝わりやすいので、雪の日は音声が聞き取りづらく、音楽は聞き取りやすいといえるでしょう。
理由②:気温が低いと音が伝わりにくいから
空気中の音の速さは、気温が下がると遅くなり、いつもより伝わりにくくなります。
その理由は、空気中の分子の動きが原因です。
空気中の分子は、気温が高くなるほど動きが激しくなり、反対に低くなるとゆっくりになります。
音というのは分子の振動ですから、分子が激しく運動してぶつかりやすくなるほど、音が早く聞こえるようになるのです。
つまり、雪が降るような寒い日は、分子の運動もゆっくりになっているので、振動が伝わりにくく、音が聞こえにくい状態になります。
ちなみに、空気よりも液体の方が、液体よりも固体の方が、音が伝わりやすく速く聞こえます。
水中のソナーや糸電話などが分かりやすい例ですね。
一方、冬の日や夜は音が遠くまで聞こえるという側面もあります。
よく晴れた日の夜は、遠くの電車の音などがなぜか聞こえるといった経験はありませんか?
これは気のせいではなく、上空と地上の気温の違いによって音の伝わり方が違うことによって起きる現象です。
空気中の音の振動は、直線的に伝わるのではなく、遠くなるにしたがって上空へと進むため、このような現象が起こるのです。
たとえば、よく晴れた日の昼間は地面が暖められるので、上空へいくほど気温が低くなります。
音は、はじめは気温が高いため速く伝わるのですが、進むうちに上空の気温は低くなっていくので、音が伝わりにくくなっていきます。
すると、音が伝わる距離が短くなり、上空へと音の波がどんどん進むため、結果的に音が遠くまで聞こえにくいのです。
それに対して、夜になると放射冷却といった現象などによって、地表が冷やされ上空が暖かくなります。
そのため、音の速さは昼間とは逆に、はじめはゆっくりですが、進むにつれて速くなるので、遠くまで聞こえるようになるのです。
まとめ
音というのは、空気中の分子によって伝えられる振動の波です。
その波をわたしたちの耳でキャッチすることで、音として認識できます。
雪が降る日に音が聞こえなくなるのは、その振動の波を雪が吸収してしまうためです。
それは、雪自身が持っている音を吸収しやすい性質と、雪が降る日の気温の低さによって引き起こされます。
雪の日に幻想的なイメージを持ちやすいのは、きっとこのような性質を雪が持っているためでしょう。
雪の日ならではの幻想的で静けさに満ちた世界を、楽しんでみてくださいね。
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