冬になると、雪がよく降る東北や北海道といった地域では、雪おろしをする光景が一種の風物詩のように見られます。
しかし、なぜわざわざ屋根に登って積もった雪を下ろす必要があるのでしょうか。
どう考えても危険な作業ですし、実際、毎年犠牲者が出ています。
そこで、なぜ雪おろしをする必要があるのかについて、その理由を注意点と合わせて解説します。
雪おろしとは?
雪おろしとは、読んで字のごとく屋根に積もった雪を地面に降ろす作業のことです。
屋根の上に登って、スコップといった道具を使って人力で行います。
地方公共団体による支援のほか、ボランティアによる支援や専門業者に依頼するケースも多いです。
ちなみに、豪雪時における雪おろしを業者などに頼んだときにかかった費用は、雑損控除または災害減免法の対象となります。
確定申告で所得税の軽減や還付を受けることができますので、必要な方は覚えておいてください。
雪おろしをする理由
雪国において雪おろしをする理由は、基本的に以下の2つです。
- 雪の重みで家屋が倒壊してしまうことを防ぐため
- 屋根に積もった雪が滑り落ち、通行人をけがさせてしまうため
ほかにも、電波アンテナが不調であるとか、扉を開けにくくなるなどといった理由もあると思いますが、よく取り上げられる理由としては以上の2つでしょう。
人命にかかわる大きな問題ですので、危険な作業であることは承知の上で行う必要があるのです。
最近では、屋根の雪おろしをせずにすむように
- 熱を使った融雪方式
- 構造材を強化することで雪を乗せたままでも耐えられる克雪住宅
といった設備の住宅も増えてきています。
雪の重量
先ほど、雪おろしをする理由として家屋の倒壊を防ぐことが挙げられたように、積もった雪は家屋を倒壊させるほどの重さとなります。
降ってくる雪は、一見ふわふわしていて軽く見えますが、屋根の上に積もり固まっていくことで重さを増すのです。
具体的には、降ってきてまもない新雪は1㎥あたり30~150㎏ですが、数日たったあとのしまり雪は1㎥あたり150~500㎏にまでなり、およそ5倍の重量となります。
これが、100㎡の屋根に50㎝ほど積もったと考えると、その重さはなんと、10~20t以上にまでのぼります。
例えるなら、動物園のゾウが2~4頭屋根の上に乗っているということになるので、大変危険な状況であることが分かりますね。
また、傾斜屋根の場合、あとから雪止め金具を付けたり、雪が落ちにくい板金に取り換えている際には、こまめに雪を落とす必要がありますので注意してください。
雪おろしをする目安としては
- 部屋の障子やドアが閉まりにくくなった
- 屋根の上に雪が1.5m以上積もった
というタイミングで作業を行うとちょうどよいです。
雪おろしの注意点
先述の通り、雪おろしは大変危険な作業です。
自分で雪おろしを行う方のために、注意点と対策をご紹介します。
[box class=”box27″ title=”注意点と対策”]
- 安全な装備で行うこと
- はしごはしっかり固定すること
- 必ず2人以上で作業すること
- 気温が高い日の作業はできるだけ避けること
- 傾斜屋根の場合、一番高い部分から下へ向かって順番に落としていくこと
- 無理せず手の届く範囲ですこしずつ作業すること
- 周りに雪を残して作業すること
[/box]
雪おろしは高所での作業となるので、必ずヘルメットや命綱、安全帯を装備してください。
どれほど自信があっても、傾斜のある屋根での作業は大変危険なので、屋根は滑るものと考えて万全の対策をとって作業しましょう。
また、1人での作業では事故が起きてしまった場合、発見するのが困難になるので、必ず2人以上での作業を心掛けてください。
そして、気温が高い日の作業は雪がとけて滑りやすくなるので、できる限り避けましょう。加えて、傾斜屋根の場合、軒下部分にある氷のかたまりが雪止めになっていることがあるので、一番高いところから下に向かって順に雪を落としていくとよいです。
雪庇を落とす際には、屋根の先端部分から1mくらいのところに体の半分から1/3くらいがかくれる深さと幅の道を掘り、そこで作業してください。
そうすれば、万が一ころんだとしても屋根から転げ落ちることを防げます。
また、雪庇にスコップをいれるときには、軒先と並行ではなく必ず屋根の端のラインに対して直角に入れてください。
徐々に落としていくことで、雪が一気に落ちることを防げます。
雪は先述した通りとても重いので、無理せず休憩を取りながらすこしずつ作業を行うことが、事故を起こさないコツです。
まとめ
雪おろしは、主に豪雪地帯において屋根に積もった雪を落とす作業です。
積もった雪は、雪は見た目よりも相当重いので、特別の対策をしていない場合は、家屋の倒壊や事故を防ぐためにこまめに行いましょう。
しかし、高所での作業となるので、毎年犠牲者が出ているほど危険な作業でもあります。
必ず安全な装備を身に付け、2人以上で無理せず慎重に作業を行いましょう。
自信がない方は専門業者に依頼するのが確実です。
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