上空を見上げると、いくつもの雲が散在しているのを見ることができます。
フワフワと浮かんでいる雲は、どこかから移動しているのでしょうが、雲の内部がどうなってるかを意識している人はあまりいないと思います。
雲は雨を降らせる要因ともいえるので、雲発生のメカニズムを知ることは重要です。
この記事では、
- 雲の内部がどうなっているのか
- 雲がどのように雨を降らせているのか
について解説したいと思います。
雲の成分
上空の空気は、地表の空気よりも温度が低く、空気中に含むことのできなくなった水蒸気が極小の水や氷の粒となります。
極小の水や氷の粒は、目に見えないほど小さく、それらの大きさは約0.02mmです。
上空の水蒸気に含まれる極小の水や氷の粒は、排気ガスの塵や海水が空中に飛び散ってできた微粒子を取り囲むことにより、雲の粒を形成します。
雲の粒が上空で集合して雲になり、周りとの気圧を均衡に保とうとするため、どんどん膨らんで大きくなります。
雲の成分の大半は水蒸気であり、雲の粒の核となる排気ガスの塵や、海水からの微粒子も雲の成分の一部です。
雲が白く見えるのは、雲の内部に含まれる水蒸気が飽和状態であり、小さな水分子が集まっているからだといえます。
寒い日に、外で息を吐くことにより、息が白っぽく見えるのも同じような理由となります。
雲の内部
一般的に、雲は太陽光により地表が暖められ、軽くなった空気が上昇気流で上空に運ばれることが重要です。
上空に運ばれた空気は、上昇すると気圧が下がるので、膨張しながら冷却されます。
上昇しながら冷却された空気は、飽和状態に達するので、水蒸気が極小の水や氷の粒に変化します。
気圧の変化により、水蒸気が極小の水や氷の粒に変化することを「凝結」といい、これが雲発生のメカニズムです。
雲の内部に存在する氷の粒は、周りにある水蒸気を引き寄せることにより、さらに大きく成長します。
氷の粒が水蒸気を引き寄せるのは、周りに存在する水蒸気圧が、極小の水の周りの水蒸気圧よりも低いからです。
雲が大きく成長していく過程において、雲の内部構造を考える必要があります。
雲の内部構造を考える上で、雲内での温度がどうなってるか気になりますよね。
地表の気温を30℃とすると、地表から1km地点の雲底では約20℃となり、3km地点では0℃、5km地点では-10℃、雲頂付近では-30℃下回ることもあります。
雲内で凝結した雲の粒は、雲内で氷点下になっても凍ることなく、-30℃ぐらいまで凍ることはありません。
液体のまま存在することを過冷却といいますが、雲の粒は過冷却の状態で、雲内を上昇し続けることになります。
雲から雨が降る仕組み
雲内で過冷却のまま上昇を続ける雲の粒は、-50℃付近の地点まで到達すると、凍結して氷晶になります。
-50℃付近の地点は、対流圏界面といい、地表から約13~15kmです。
雲頂では上昇気流がなくなるので、氷晶は重力により落下が始まります。
氷晶が、大量の過冷却された雲の粒が雲内を落下することにより、過冷却された雲の粒も凍結が始まり氷晶へと変化します。
周りの雲の粒は、一気に凍結して雪へと成長する過程が、降雪のメカニズムです。
雲内で大きく成長した雪は、瞬間的に凍結するので、綺麗な六角形の樹枝状結晶になります。
0℃付近まで落下することにより、成長した雪同士がぶつかり合いながら、雨滴へと変化します。
雪から変化した雨滴が、地表に降ることが、雲から雨が降る仕組みです。
雨は季節を問わず、雲の中ではもともとは雪であり、それが溶けるか溶けないかが重要だといえます。
雲から雨が降る理由
地表や海水に含まれる水分や空気が、太陽光によって暖められることにより、水蒸気となって蒸発します。
蒸発した水蒸気が、空へと上昇していく過程で上空の冷気により、微小な水や氷の粒に変化します。
水蒸気から変化した微小の水や氷の粒が、上空で集合したものが雲です。
雲は微小の水や氷の粒を取り込みながら、発達していき、だんだん大きくなります。
雲の中で大きくなり過ぎた水や氷の粒は、重くなり過ぎてしまい、雲の中で浮いているのが難しくなります。
雲の中で浮いているのが難しくなった水や氷の粒は、重力の影響により、地表に向かって落下するのが雨です。
雲の内部において、地表に向かって落下する水や氷の粒が、地表に近づくにつれて溶けていき、液体となったものが雨だといえます。
まとめ
雲は雨を降らせる上で重要な要素であり、雲発生のメカニズムを知ることは雨発生のメカニズムにつながります。
雲ができる過程において、地表と上空の気圧差により温度差が重要であり、温度差が大きいほど大きい雲が発生します。
入道雲などの大きな雲が発生しやすい夏に、大雨が降るのも地表と上空の温度差が要因だといえるでしょう。
地表と上空の温度差を意識することにより、雲の発生を予測できるようになるかもしれませんね。
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