【知識0からわかる】雲海のキホンを徹底解説

雲海 雲海

雲海は、さまざまな気象条件がかさなったときにみられるもので、「奇跡の絶景」ともいわれています。

奇跡といわれるだけに、雲海はいつでもみられるわけではありません。

天気や気温などさまざまな条件がそろわないとみることができないのです。

ではそのさまざまな条件とは、いったいどんなものなのでしょうか。

とくに初心者のかたは、雲海をみたいけれど、

  • 雲海が見えるのはどんな天気なんだろう?
  • 気温はどのくらいのときに雲海は出るの?
  • 雲海の見える季節や時間帯はいつ?

など、わからないことばかりかもしれません。

そこで、この記事では、

  • 雲海の概要
  • 雲海の発生する仕組み
  • 雲海が発生する条件
  • 雲海が出る時期

などの、雲海のキホンをくわしく解説します。

雲海のキホンがわかれば、

  • 遠くの高い山にのぼらなくてもよいこと
  • 専門家に聞いたり、一緒じゃなくてもよいこと

がわかり、雲海に対するハードルがグッとさがり、みられる確率もあがりますよ。

また後半では、雲海がみられるスポットなども紹介しますので、ぜひ1度自分の目で、奇跡の絶景をあじわってみてはいかがでしょうか。

雲海とは

aerial photograph of clouds

雲海とは、山や飛行機など高度のたかい場所から下をみると、雲が海のように一面にひろがってみえる様子のことです。

眼下一面にひろがる雲が大海原のようにみえるため、「雲の海」すなわち「雲海」とよばれるようになったそうです。

雲海がみられる場所は、雲海の天井となる層よりもうえであることが重要になりますが、かならず高い山である必要はありません。

たとえば、

  • 盆地をみおろすことのできる丘
  • 低い山

などでも、雲海をみることができます。

雲海の発生する仕組み

white clouds during daytime in landscape photography

一般的によく見られる、晴れた日の早朝に眼下にひろがる雲海は、

  • 放射冷却で地表が冷える
  • 空気(水蒸気)が冷える
  • 冷えた空気がたまる
  • 霧(雲)ができる

の4つのステップによって発生します。

放射冷却で地表が冷える

地面からはつねに熱が宇宙空間へ放出されています。

日中は太陽からの熱が降りそそぐため、空気があたためられますが、晴れた夜間は、熱エネルギーが宇宙空間へと放出するので、気温が下がります。

これを「放射冷却」といいます。

空気(水蒸気)が冷える

放射冷却により、水蒸気をふくんだ空気が冷えます。

ふつうは上空へいくほど気温が下がります。

すると上空には、乾燥して安定した空気の層ができます。

反対に、地表付近の気温が下がると「逆転層」という現象がおこり、上空にいくほど気温があがり、地表付近のほうが気温がさがっている状態になるのです。

この逆転層は、雲がうえに成長するのをとめる天井のような役割をもっています。

冷えた空気がたまる

無風時・風がよわいときに、

  • 山間部
  • 盆地

に、冷えた空気がたまります。

風がある日は、湿って冷えた空気がながれてしまいます。

霧(雲)ができる

水蒸気が飽和状態をとおりこし、霧ができます。

霧(雲)の層のうえからみると、これが雲海の状態になります。

雲海が発生する条件

photo of thick white clouds

雲海が発生するには、

  • 気候的条件
    • 天気
    • 気温
    • 季節
    • 時間帯
  • 地理的条件
    • 地形

がおおきく関わってきます。

まず、気候条件についてくわしく説明します。

雲海が発生しやすい条件の1つめに「天気」があります。

たとえば、

  • 夜間によく晴れて放射冷却がおこり、気温が下がる
  • 上空が高気圧によっておおわれ天気がよい
  • 空に満天の星がみえる日
  • 前日に雨がふって湿度がたかいときに放射冷却がおこった翌朝

などです。

2つめの条件は「気温」です。

日中と夜間の気温差(寒暖差10℃以上)がおおきければ、条件としてはじゅうぶんです。

盆地に雲海が発生しやすいのは、寒暖差がはげしいからだといえます。

3つめの条件は「季節」です。

紅葉のはじまる時期は、

  • 放射冷却がおこりやすい
  • 大気が安定している
  • 寒暖差がおおきい

ため、1年でもっとも雲海が発生しやすく、美しい雲海をみることができます。

4つめの条件は「時間帯」です。

雲海がもっとも発生しやすい時間帯は、夜明けから早朝にかけてです。

日がのぼると、地面があたためられ雲海はきえてしまうため、夜明け前から日の出後1、2時間までがベストな時間帯といえます。

つぎに、地理的条件についてくわしく説明します。

雲海が発生する5つめの条件は「地形」です。

雲海が発生しやすい場所には、

  • 内陸の山間部
  • 盆地

があります。

また、蒸気霧がおおく発生しやすい、

などからの湿った空気がはいりやすい地形でも、雲海がおおく発生します。

※蒸気霧とは、川・湖などのあたたかい水面上に冷たい空気が流れこむことで、水面から蒸気が蒸発して発生する霧のことです。

雲海が出る時期

landscape photography of mountains with cloudy skies during golden hour

雲海は1年中みることができますが、その中でももっとも発生しやすい時期は、

  • 秋(とくに晩秋)

です。

なぜなら、春・秋は、

  • 放射冷却がおこりやすい
  • 寒暖差がおおきい

からです。

またほかにも、

  • 天気
  • 地形

なども、雲海の発生におおきく影響してきます。

雲海の種類

landscape photography of grey mountains

雲海といってもさまざまなものがあり、

  • 放射霧による雲海
  • 雨あがりにあらわれる雲海
  • 川霧(かわぎり)・湖霧(こぎり)・蒸気霧(じょうきぎり)の雲海
  • 移流霧(いりゅうぎり)の雲海
  • 滑滑霧(かっしょうぎり)の雲海
  • 悪天候(うてん)時の雲海

の6種類にわけられます。

放射霧による雲海

放射霧とは、放射冷却によって冷えた地面が、空気中にふくんだ水蒸気を冷やして霧になることです。

放射霧は、もっとも一般的な雲海で、おもに

  • 内陸の盆地・山間部でみられる
  • 朝晩が冷え込み、弱風のときに発生しやすい
  • 夜明けから早朝にみられる
  • 秋におおく発生する
  • 局地的にできやすい

といった特徴があります。

雨あがりにあらわれる雲海

雨が降ると、地面におおくの水分がたくわえられます。

そして、雨があがって晴れると夜間に気温は下がり、早朝には空気中にふくんだ水蒸気が冷えることで、霧が雲となるのです。

雨あがりにあらわれる雲海は、

  • 全国各地でみられる
  • とくに盆地で発生しやすい
  • 秋におおく発生する
  • 局地的にできやすい

といった特徴があります。

川霧(かわぎり)・湖霧(こぎり)・蒸気霧(じょうきぎり)の雲海

川・湖などのあたたかい水面上に冷たい空気が流れこむと、水面から蒸発がおきて霧が発生します。

これを蒸気霧といい、

  • 全国各地でみられる
  • とくに盆地で発生しやすい
  • 秋におおく発生する
  • 広範囲にできやすい

といった特徴があります。

移流霧(いりゅうぎり)の雲海

移流霧とは、あたたかく湿った空気が、冷えたエリアに移動したときに発生する霧のことです。

これは、あたたかく湿った空気は、冷えた地面・水面にちかい下のほうから冷やされるためです。

移流霧は海上で発生することがおおいので、別名「海霧」ともよばれます。

移流霧には、

  • 移流してきた空気と水面の温度差が大きいほうが発生しやすい
  • 北日本太平洋側
  • 親潮の影響をうけるエリア
  • とくに夏におおく発生する

といった特徴があります。

滑昇霧(かっしょうぎり)の雲海

日がのぼり、山肌があたためられると、上昇気流が発生し、空気が山をかけあがります。

これを谷風といいます。

逆に、日がしずむと空気が冷やされ、冷たく重たい空気が山をくだって谷に風が吹きくだします。

これを山風といいます。

滑昇霧とは、谷風が吹くときに、下からあたたかく湿った空気がもちあげられることで、山の上のほうで飽和し、発生する霧のことをいいます。

滑昇霧は、谷風から山風にかわる日没後にきえることがおおいとされています。

滑昇霧には、

  • おもに山地で発生する
  • 年間を通して発生する

といった特徴があります。

悪天候(雨天)時の雲海

悪天候(雨天) ときの雲海は、その名のとおり、

  • 天気がわるいとき
  • これから悪くなるとき

などに発生する雲海です。

悪天候(雨天)ときの雲海は、雨による湿度の上昇で、低い高度に雲ができたとき、下の雲と上の雨雲の間にすきまができ、そのすきまに雲海ができるというものです。

ただ、この雲海は雲の動きが早いため、持続しにくく、なかなかみることが難しい雲海といえます。

悪天候(雨天)時の雲海には、

  • 天気が下り坂の予報がでている
  • 天気がわるい
  • 低気圧が接近している

といった特徴があります。

雲海の出る場所

fogs covering rocky mountain under cloudy sky during daytime

日本には、雲海野出るスポットが数多くありますので、いくつか紹介します。

トマムの雲海テラス:北海道

トマムの雲海テラスは、

  • 標高1088mの場所
  • 星野リゾートトマムの敷地内

にあり、さまざまな種類の雲海をみることができます。

トマムの雲海テラスでみられる雲海は、

  • 太平洋産雲海・・・雲海が十勝平野をおおい、日高山脈をこえて流れこんでくる躍動感たっぷりの雲海
  • トマム産雲海・・・放射冷却によって発生し、ホテルが雲のなかから突き出るようにみえる雲海
  • 悪天候型雲海・・・天気がわるいとき・これからわるいときにあらわれ、山にまとわりつくように広がる雲海

の3種類です。

また、雲海だけではなく、

  • 絶景
  • 体験

などを思う存分たのしめる展望スポットもたくさんあり、非日常を味わうことができるのも魅力の1つです。

そして、トマムの雲海テラスでは、翌日に発生する雲海の

  • 種類
  • 発生確率

などを発表しているので、高確率で雲海をみられるかもしれません。

  • 雲海の発生しやすい時期・・・5月から10月上旬(とくに6・7月)
  • 営業時間・・・2020年5月11日から10月14日

国見ヶ丘:宮崎県

国見ヶ丘は、

  • 宮崎県高千穂町
  • 標高513m

にあり、神話のふるさとともいわれています。

国見ヶ丘という名前は、神武天皇の孫「健磐龍命(たけいわたつのみこと)」が九州統治の際に、この丘に立ち寄って国見をしたと言い伝えられていることが由来とされています。

国見ヶ丘は、雲海の名所としても有名で、

  • 高千穂盆地
  • 阿蘇山・祖母山などの山々

を雲海がつつみこむ絶景がみられます。

その光景は、「まるで墨絵のような世界がひろがっているようだ」と称賛されるほどで、ミシュランガイドの1つ星も獲得しているのです。

  • 雲海の発生しやすい時期・・・9月下旬から11月上旬
  • 雲海の発生しやすい時間・・・明け方から早朝

竹田城跡:兵庫県

竹田城跡は、

  • 兵庫県朝来市
  • 古城山山頂

にあります。

また、竹田城跡は、

  • 虎臥城(とらふすじょう)・・・虎が臥せているようにみえることから
  • 天空の城・・・城が雲のうえにうかんでいるかのようにみえることから
  • 日本のマチュピチュ

などの別名・愛称でもしられています。

竹田城跡には、2つの雲海ビュースポットがあります。

1つめは、立雲峡(りつうんきょう)です。

立雲峡は、円山川(まるやまがわ)をはさんで、竹田城のむかいにある朝来山の中腹にあります。

立雲峡のポイントは、

  • 竹田城跡を正面からみることができる
  • 雲海にうかぶ「天空の城」をみることができる

という点です。

2つめは、竹田城跡です。

竹田城跡のポイントは、まわりを雲海にかこまれ、まるで雲海のうえにうかんでいるような気分をあじわえるという点です。

とくに、竹田城跡本丸にある天守台横から南千畳をねらった角度が1番美しいそうですよ。

雲海シーズンになると「雲海バス」が早朝に運行しているようなので、確認してみてくださいね。

また、朝来市の観光情報サイト「あさぶら」に、独自の雲海予報を出されているので、チェックしてみにいくことをオススメします。

  • 雲海が発生しやすい時期・・・9月下旬から4月上旬(とくに11月下旬から12月上旬)
  • 雲海が発生しやすい時間・・・明け方から午前8時頃

富士山:静岡県/山梨県

富士山は、

  • 静岡県
  • 山梨県

にまたがる日本一(標高3776m)高い山です。

日本人なら知らない人はいないといってもよいでしょう。

富士山でみられる雲海の種類は、

  • 移流霧の雲海
  • 滑昇霧の雲海
  • 悪天候時の雲海

です。

富士山の雲海ビュースポットは、

  • 富士山山頂・・・運がよければ、雲海からのぼるご来光をみることができる
  • 標高2,400mの富士山の中腹・・・隣接する山がないため、眼下はどこまでも雲でおおいつくされる

です。

富士山からみる雲の地平線はまさに絶景で、1度はみておきたい光景といえるでしょう。

  • 雲海が発生しやすい時期・・・太平洋から湿った空気(南風)が流れ込んでくる天気のとき
  • 富士山登山シーズン・・・7月上旬から9月上旬(5合目から山頂)

※2020年は新型コロナウィルスの影響により、登山ルートは封鎖されています

  • 富士山スカイライン登山区間は、11月中旬から4月下旬まで積雪のため通行不可

もっと雲海おすすめスポットについて、知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。

【これは外せない!】絶対行くべきおすすめの雲海スポット10選

雲と霧との違いとは?

white clounds

結論からいうと、雲と霧のちがいは、地上に接しているかいないかというだけのことです。

すなわち、

  • 霧・・・地上に接している
  • 雲・・・地上に接していない(空中に浮かんでいる)

ということになります。

山にかかる雲などは、みる位置によって呼び方がかわってきます。

たとえば、山にかかる雲を

  • 地上のふもとからみたとき・・・上空にあたるので「雲」
  • 山のなかからみたとき・・・地上に接しているので「霧」

ということになります。

まとめ

white seaclouds on mountain ridge

雲海を見に行くときは、

  • 防寒対策
  • ヘッドライトなど
  • 歩きやすい靴(山をのぼることもあるので)
  • レインウェアなどの雨具

をしっかり準備していきましょう。

そして、雲海をみるには、

  • すこしの知識

が必要です。

きっと雲海をみることができたら、その圧巻の光景に、深く感動するのではないでしょうか。

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