静電気が流れて「ビリッ」と軽い痛みを感じることってありますよね。
そのたびに不快な気持ちにさせられるものです。
たとえば、
- ドアノブをにぎったとき
- エレベーターのボタンを指でさわったとき
- セーターをぬぐとき
- 車から降りて、ドアを閉めようとしたとき
など、静電気が起こる場面はさまざまです。
また、痛みはなくても、
- パソコンの画面にホコリがついてよごれる
- 食品用ラップがお皿にくっつく
といった現象も静電気によるものです。
子どものころから身近に感じることが多い静電気ですが、そもそも、なぜ静電気が発生するのでしょうか。
この記事では、静電気が発生する
- 仕組み
- 原因
- 条件
についてくわしく解説します。
タイトル
静電気とは
そもそも、静電気とはなんでしょうか。
静電気とは、「異なる2つのものがくっついたり離れたりするときに、プラス電気とマイナス電気が異なる2つもののあいだを移動することで発生するもの」をさします。
プラス電気とマイナス電気はすべての物質に含まれており、プラス電気とマイナス電気が同じ数のことを「中和状態」といいます。
つまり、「中和状態」とは、静電気が発生していないことですね。
物質に含まれている、
- プラス電気の割合が多くなることを「プラスに帯電」
- マイナス電気の割合が多くなることを「マイナスに帯電」
といい、この帯電した状態を静電気といいます。
なぜ、このような現象が起こるのでしょうか。
次に、静電気が発生する仕組みについてくわしく解説します。
静電気が発生する仕組み
わたしたちの身の回りにあるものは、すべて電気をもっています。
それはわたしたち人間も同じです。
通常は、プラスの電気とマイナスの電気を同じ数だけ持っているため、「プラスでもマイナスでもない状態」、つまり「電気を帯びていない状態」になっています。
しかし、プラスとマイナスのバランスは、異なる2つのものがぶつかることでかんたんにくずれてしまいます。
異なる2つのもののあいだには、
- マイナス電気をうばう側
- マイナス電気をうばわれる側
という関係があります。
これは、ものによってマイナス電気をひっぱる力が異なることからおきる関係です。
そのため、異なる2つのものがぶつかるとマイナス電気の力が強いほうに、もう一方のマイナス電気はひっぱられます。
マイナス電気をうばわれた側は、プラス電気の力が大きくなります。
一方で、マイナス電気をうばった側は、マイナス電気の力が大きくなりますね。
このように、プラスとマイナスの比率のバランスがくずれた状態のことを、静電気といいます。
静電気を帯びていることを専門的には「帯電」といい、帯電した物質は、もとの状態に戻ろうとします。
このときの、もとに戻ろうとする動きのことを「放電」といいます。
たとえば、マイナス電気が帯電しているドアノブに、プラス電気が帯電している人間の手が触れたとします。
すると、ドアノブから人間の手に対してマイナス電気が流れ、軽い感電が起きます。
つまり、この軽い感電を一般的に「静電気」と呼びますが、実際には「静電気によって起きた放電」をさしています。
2つの物質がくっついたりこすれることによって帯電するとき、物質によってプラスに帯電するか、マイナスに帯電するかはちがいます。
物質によって、プラスとマイナスどちらに帯電しやすいかはちがうのです。
たとえば、
- 人間
- ガラス
- 毛布
- ナイロン
はプラスに帯電しやすく、
- 木
- ゴム
- ポリエステル
- テフロン
はマイナスに帯電しやすいです。
どんな物質が、プラスとマイナスどちらに帯電しやすいか知ることによって、未然に静電気の発生を防げるかもしれませんね。
また、プラス電気とマイナス電気の力の関係は、磁石と同じ仕組みです。
磁石のS極とN極は近づけると引き合い、S極同士、N極同士を近づけると反発し合います。
つまり、
- S極とN極のあいだには引き合う力
- S極同士やN極同士のあいだには反発する力
がはたらいており、この力のことを「磁力」といいます。
では静電気の場合はどうでしょうか。
静電気の場合は、プラスに帯電したものとマイナスに帯電したものは引き合い、プラスに帯電したもの同士、マイナスに帯電したもの同士は反発し合うのです。
このように、帯電したものには、
- プラスに帯電したものとマイナスに帯電したものには引き合う力
- プラスに帯電したもの同士、マイナスに帯電したもの同士には反発する力
がはたらいており、このような力のことをクローン力といいます。
また、帯電量が大きくなると静電気の大きさにも影響があります。
帯電量を決める三大要素は
- 接触面積
- 摩擦力
- 湿度
です。
接触面積と摩擦力が大きく、湿度が低いほうが帯電量が大きくなり、静電気がおこったときに発生量が大きくなります。
そのほかに、
- 圧力の大きさ
- 温度の高さ
も、帯電量に影響があります。
圧力は大きく、温度は低いほうが静電気の発生量は大きくなるんですね。
ちなみに:静電気でものがくっつく理由
子どものころ、したじきを頭にこすりつけてかみの毛を逆立ててあそんだ経験はありますよね。
何気なくやっていた遊びですが、それも静電気によるものです。
なぜ静電気でものがくっつくのでしょうか。
これは、静電気が発生したときに、接触した2つの物質がプラスとマイナスに帯電した状態であるため、電気的な力で引き合っているからです。
ストッキングをはいた脚にスカートの裏地がくっついてくるもの同じ原理であるといえますね。
静電気が発生する原因
静電気は一般的にどのような場所でも発生します。
では、静電気が発生する原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、静電気が発生する原因を
- 摩擦帯電
- 剥離帯電
- 誘導帯電
- 接触帯電
- 転がり帯電
- 噴出帯電
の6つに分けてくわしく解説します。
摩擦帯電
2つのものがこすれ合って静電気が発生することを摩擦帯電といいます。
セーターを脱ぐときに「パチパチ」と静電気が発生するのは、
- セーターと体
- セーターとセーター
が摩擦してマイナスの電気が移動することで発生している、と説明が出来ます。
剥離帯電
くっついている2つの物体が離れるときに静電気が発生することを剥離帯電といいます。
- 液晶ガラス基板から保護フィルムを剥がすとき
- ガムテープを剥がすとき
などに起こる静電気はこのことをさします。
誘導帯電
帯電した物質に別の物質を近づけると帯電した物質のマイナスの電気、もしくはプラスの電気が表面にあつまり帯電することを、誘導帯電といいます。
実際に2つのものがくっついていなくても起きる静電気なので発見しづらいものになります。
接触帯電
2つのものがくっつくと、片方のマイナス電気がもう片方へ移動することを接触帯電といいます。
摩擦や剥離などの刺激が起こらなくても、ただ接触するだけで静電気は発生しているのです。
転がり帯電回転体が、他の物体の上で転がったときに起こる帯電のことを転がり帯電といいます。 巻き取り機などで発生しやすい帯電です。 噴出帯電ノズルから液体や高圧ガス、粉体が噴出する際に発生するものを噴出帯電といいます。 静電気が発生しやすい条件静電気は、湿度が40%以下で急に発生しやすくなります。 日本で湿度が40%以下になるのは10月ごろからです。 秋から冬にかけて空気が乾燥することで静電気が発生しやすいといえます。 では、なぜ乾燥すると静電気が起きやすくなるのでしょうか? 乾燥すると、物質の表面の水の分子からの放電がなくなり、物質自体に帯電する量がふえてしまうため、静電気が発生しやすくなります。 湿度がたかいと、物質が水の分子でコーティングされ、そこで少しずつ放電されるため帯電がしにくくなります。 また、晴れの日は日中と夜間で湿度の変動がおおきいので注意が必要です。 静電気対策をするのは、9~10月のはやめの対応がよいといえますね。 まとめいかがだったでしょうか。 今回は、静電気が発生する仕組みと原因、さらに静電気が発生しやすい条件について解説しました。 静電気とは、すべての物質が同じ数だけ持っている
の数のバランスが崩れてしまった状態のことをさします。 異なる2つのものがぶつかり、電気の数のバランスが崩れてしまったものがもとの状態にもどろうとするときに電気が流れ、「ビリっ」とした刺激が走ります。 また、静電気の原因には、異なる2つのものが
にくわえて、
の6つが挙げられます。 また、静電気は乾燥する10月から起きやすいことについても解説をおこないました。 静電気が起こりやすい人は、「乾燥」が大きく関係しているのかもしれません。 保湿をしっかり行うことで、静電気が起こりにくくなるといえるでしょう。 静電気対策をすることが、あなたの乾燥肌対策にもつながり、一石二鳥になりますね。 |
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